大阪府水道事業、統合が加速 来春に岸和田や八尾など5市 事業統合は19市町村に拡大
水道事業を手がける一部事務組合「大阪広域水道企業団」と岸和田、八尾、富田林、柏原、高石の大阪府内5市は28日、来年4月に水道事業を統合する基本協定を結んだ。今回5市が加わることで、府内19市町村の水道事業が統合されることになる。企業団は今後も統合を加速させていく考えだ。 企業団は大阪市を除く42市町村に水を供給している。事業統合を決めた5市にはそれぞれ水道局などがあり、各家庭への配水などを担っている。統合で企業団は供給にとどまらず、家庭への配水まで一本化する。水道事業の運営基盤を強化し、自治体の将来的な財政負担の軽減を目指す。 大阪市内での協定式で、企業団企業長の永藤英機・堺市長は、5市の合流で事業統合された地域の人口が「40万人から110万人へ増える」と意義を強調。府内の中核市で初めて合流する八尾市の大松桂右(けいすけ)市長は「府域での『一水道』への取り組みが加速することを願う」と語った。 ■大都市しり込み 広域化に課題多く 大阪広域水道企業団が市町村を越えた事業統合を進める背景には、府内の水道施設の急速な老朽化がある。府によると、設置から40年を超えた老朽水道管比率は35・6%(令和4年度時点)。全国平均(22・6%=3年度末時点)を上回り、全国ワーストだ。 設備の更新・耐震化が喫緊の課題だが、人口減少などで料金収入の減少が見込まれるなか、各自治体が単独で運営しながら設備更新を続けることは厳しさを増す。広域化で無駄を省き、水道管更新の資金を捻出する狙いだ。企業団は令和11年度までに府内過半数の市町村との統合を目指すなど、今後も統合を進める方針だ。 ただ、現在事業統合に参加している自治体は比較的人口規模の小さい自治体が多く、統合によるメリットが見えにくいとの指摘がある。規模の大きい自治体には、統合でむしろ水道料金が値上がりするとの懸念もある。 府内で3番目に人口が多い東大阪市は議会の反対多数で統合を断念した。堺市は将来的に統合に加わる方針としているものの時期は明示していない。大阪市は企業団にも加わっていない。今回、事業統合を決めた自治体は「大阪市や堺市が合流しなければ、どこまで統合効果が発揮されるかわからない」と話す。