北陸新幹線延伸で小浜ルート3案提示 県選出国会議員、国交省に「容認できず」
●工期最長28年、工費5.3兆円 ●与党整備委、追加データ提出指示 北陸新幹線敦賀以西の延伸をめぐり、国土交通省は7日、「小浜ルート」の詳細3案を与党整備委員会に提示した。想定工期は最長約28年で当初の15年から大幅に延び、建設費は倍増し最大約3兆9千億円。今後の物価上昇で5兆3千億円に膨らむ試算も示した。石川県などで「米原ルート」への再考を求める声が強まる中、整備委のメンバーである県選出国会議員は「容認できない」と反発。整備委は国交省側に追加データを提出するよう指示した。 都内で開かれた与党整備委の会合では敦賀以西の建設費について、来年度政府予算に向けた今夏の概算要求で、金額を示さない「事項要求」とするよう整備委として国交省側に求めた。 国交省が示した小浜ルートの3案は京都市に置く新駅の位置が異なる。京都新駅の候補は、JR京都駅の(1)地下の東西(2)地下の南北(3)西約5キロのJR桂川駅近くの地下。京都新駅とその周辺以外は共通のルートで、小浜市に置く新駅はJR東小浜駅の近くとした。延伸区間の大半はトンネルとなる予定だ。 この日の会合に出席した議員によると、南北案を支持する意見が複数あった。与党は来年度中の着工を目指し、年内にルートを選ぶ方針だ。 小浜ルートで整備区間が長い京都府では、地下水の問題で市民団体の反対運動が起きている。これについて、国交省側は地下水に影響を及ぼさない工法を採用する考えを示した。 小浜ルートの費用対効果は建設費の上振れを受け、着工条件の「1」を満たさなくなるとみられるが、国交省は新たな数値を示さなかった。整備委によると、3案を1案に絞った段階で計算し直すという。 会合では委員で石川県選出の岡田直樹参院議員が、7月の北陸新幹線建設促進県民会議で現行の小浜ルートだけでなく、米原ルートも含めた再検討を国に求める決議が採択されたと説明。小浜の詳細ルート3案について、工期が大幅に延びたことを問題視し「了承することはできない。国交省にさらなる説明を求めたい」と述べた。 整備委は工期の短縮策を検討するよう国交省に指示。今月中に次回会合を開き、小浜ルートについて新たなデータを国交省が示す。 与党は2016年度、小浜市から南下して京都市を経由し、新大阪駅に至るルートを決めたが、京都の地下水や建設残土処理の問題があり、環境影響評価(アセスメント)などが遅れている。 石川県内では県議会や小松、加賀、能美市議会などで米原ルートへの再考を求める決議を可決し、金沢経済同友会は米原ルートを提言した。富山県議からも米原論を支持する声が上がり、政党では日本維新の会などが米原への変更を政府に提言している。 【東西案】 【南北案】 【桂川案】 総延長 146㌔ 144㌔ 139㌔ 新大阪駅工期 25年 25年 25年 京都駅工期 28年 20年 26年 概算事業額 3.7兆円 3.9兆円 3.4兆円 物価上昇を想定した事業額 5.3兆円 5.2兆円 4.8兆円