東南アジアでは珍しい自国自動車ブランド「プロトン」「プロドゥア」をもつマレーシア! どちらも「どこかで見たような……」なクルマが多いワケ
「プロドゥア」はダイハツが深く関わる
もうひとつの国民車ブランド「プロドゥア」は、1993年にマレーシア資本とダイハツの合弁会社として設立されている。ラインアップされるモデルは、日本でも販売されているダイハツ・ロッキーやそのほか東南アジアなど海外専売のダイハツ車をベースとした、いわば兄弟車をラインアップしている。 2023暦年締め新車販売台数で見ると、マレーシア国内ではプロトンとプロドゥアを合わせて国内販売シェアは約60%(乗用車のみ)となっており、さらに両ブランドのうちプロドゥアのシェアが40%強と国民車トップとなっている。 マレーシアの首都クアラルンプールを歩けば、「どこかで見たことあるけど(ダイハツ車)、見覚えのないブランド」のクルマがたくさん街なかを走っている……という光景になる。 「国民車」というカテゴリーを意識し、コンパクトで廉価なエントリーユーザー(初めてマイカーをもつ層)向けモデルを多くラインアップするのも、マレーシア国内で高い販売シェアを誇る要因になっているようである。日本でもそうだが、自国ブランドがあれば、「それならば」と選ぶという購買行動も目立つように見える。 事実、プロドゥアはよりコンパクトで廉価なモデルが多いが、もともとプロトンとプロドゥアはモデルが被らないように配慮されていたとの話も聞いている。ただし、プロトンはジーリー傘下になってから、わかりやすくいえば、昔ながらの国民車ブランドというイメージから少し離れた、立派なモデルばかりとなったものの、それでもプロトン車はマレーシア以外の外資ブランドよりはるかに見かけることができる。 「国民車ブランド」と「外資ブランド」をわけてみる傾向もあるようなので、その点では日本車と輸入車をわけて見ている日本と同じようなものかもしれない。「ルックイースト」はいまもマレーシアに根付いているといえよう。
小林敦志