65歳の夫が仕事をいつ引退しようか考えているようです。一般的な「引退年齢」と「生涯賃金」はどのくらいでしょうか?
働くシニア世代が珍しくなくなった昨今で、「何歳まで働こう」とふと考えることもあるでしょう。そこで本記事では、「65歳男性」をモデルケースに、以下の3点を解説します。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える? ●男性の平均引退年齢 ●平均生涯賃金 ●老後の毎月の支出額と社会保険給付額の平均 引退年齢の検討材料としてぜひご活用ください。
男性の平均引退年齢
独立行政法人労働政策研究・研修機構の資料によると、男性の平均引退年齢は令和2年時点で71.1歳です。平均引退年齢は2000年以降伸び続けており、今後さらに遅くなる可能性もあるでしょう。実際に、内閣府が公表している「令和2年版高齢社会白書(概要版)」によると、70~74歳の現在就業中の男性の44.7%がまだ働きたいと回答しています。 ただし、正社員の割合は年齢とともに減少します。内閣府の「令和3年版高齢社会白書(全体版)」によると、60歳以上の「役員を除く雇用者」(男性)のうち、正規雇用者率の推移は次の通りです。 ●60~64歳:53.3% ●65~69歳:30.1% ●70~74歳:26.1% ●75歳以上:25% 「60~64歳」では53.3%と半数を上回っていますが、「65~69歳」を境に3割近くにまで減少することが分かります。65歳以降も働く場合は、正規雇用ではなく、パートやアルバイトなどの形態が一般的と読みとれるでしょう。
平均生涯賃金
日本の平均生涯賃金は、1億9000万~2億3000万円程とされています。一方、厚生労働省によると、大学新卒(22歳)で入社した男性が、65歳で引退した場合の平均生涯賃金は、概算で2億7474万3100円です。したがって、労働者全体の平均を4474万3100~8474万3100円上回ります。 また、平均引退年齢である71歳まで働いた場合の平均生涯賃金は、3億410万6900円です。65歳で引退した場合の生涯賃金から、2936万3800円増加します。 ただし、平均生涯賃金は勤め先の規模によっても異なります。表1は、企業を従業員数で分類し、先と同様の条件で平均生涯賃金を計算したものです。企業規模によって、最大で約9000万円の差が生じています。 表1