センバツ甲子園 九国大付が初戦突破 延長十回サヨナラ /福岡
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)が開幕した19日、九州国際大付は第3試合でクラーク記念国際(北海道)と対戦し、延長十回に4番・佐倉(2年)が左邪犠飛を放って3―2でサヨナラ勝ちした。2回戦は24日の第6日第3試合(午後3時開始予定)で、昨秋の中国地区大会優勝の広陵(広島)と北信越地区大会優勝の敦賀気比(福井)の勝者と戦う。【浅野翔太郎、山口敬人、隈元悠太】 小雨の中始まった息詰まる熱戦は、九国大付の勝負強さで決した。延長十回、この日3安打目の左前打で2番左翼の中上(3年)が出塁。3番右翼・小田原(3年)の右前打でヒットエンドランを仕掛け1死一、三塁とすると、ここまで抑えられていた主砲の佐倉が仕事をした。雨が上がった三塁側のアルプス席は、この日一番の熱気と歓声に包まれた。 昨秋の明治神宮大会で九国大付に敗れたクラーク記念国際の打線は、序盤から先発・香西(3年)の直球に狙いを定めて先制点を奪う。九国大付は二回、四球などで2死満塁とすると、1番中堅の黒田(3年)の内野安打と中上の連続適時打で逆転に成功した。中上の父寛之さん(45)は「とりあえず1本、安打が出て良かった」と甲子園の塁上に立つ息子を見つめた。 三回、内野ゴロの間に1点を返され、試合は2―2のまま息詰まる投手戦が続いた。九国大付は遊撃・尾崎(3年)、三塁・白井(2年)を中心に堅い守備でもり立てると、「野手が守ってくれると信じた」香西が低めの変化球で凡打の山を築いた。 劇的な勝利を収め、香西の父俊英さん(48)は「野田君のリードを信頼し、野手を信頼して踏ん張ってよく投げてくれた」と目に涙を浮かべて喜んだ。 ◇「チームの顔になる」黒田義信外野手(3年) 一回、先頭打者として四球で出塁すると、すかさず二盗を決めた。二回2死満塁からは二ゴロの当たりで一塁にヘッドスライディング、内野安打として同点となり、2番・中上息吹選手(3年)の逆転適時打につながった。「1番打者の自分がチームの顔になる」と臨んだ甲子園の舞台。「足を使ってチームに貢献できて良かった」とその力を示した。 長崎県佐世保市で過ごした中学時代は陸上部でも活躍。400メートルリレーで全国大会に出場した経験を持つ。昨秋の公式戦はチーム最多の4盗塁だったが、「不安な様子を見せてしまい」盗塁失敗もあった。大会前には「甲子園で完璧に決める」と心に誓っていた。 一方、打撃は関西入りしてから対外試合3試合で3本塁打を放った長打力が影を潜め、内野安打1本に終わった。試合後は「香西が抑え、守備の流れを作ってくれた。自分の強みでもある長打力が出なかった」と反省。次戦を見据えた。【浅野翔太郎】 ◇生徒ら1000人が応援 ○…九国大付の三塁側アルプス席には、前日に関西入りした生徒約420人と保護者ら関係者計約1000人が応援に駆けつけた。ブラスバンドの演奏に合わせ、スティックバルーンをたたいて選手たちを後押しした。1点を争う展開となり、応援を率いる野球部員の斎藤慧尚(けいしょう)さんは「甲子園の雰囲気は独特だが、グラウンドの選手に笑顔が見えるので勝てる」。劇的な勝利に、多くの生徒たちが抱き合いながら喜んでいた。 〔福岡都市圏版〕