京都「三条駅前」再開発が動き始めた! なぜ“最後の一等地”と呼ばれるのか? 文化発信拠点整備で変わる街の未来とは
訪日客に近いが閑散とした三条
京都市中心部で“最後の一等地”ともいわれる東山区の京阪電鉄三条駅前で再開発計画が動き始めた。京文化を発信する複合施設が整備される方向だが、街はどう変わるのだろうか。 【画像】「なんとぉぉぉぉ!」これが三条駅周辺の「再開発エリア」です! 画像で見る(13枚) 江戸時代の東海道で西の起点となる三条大橋。東側のたもとは地下に京阪電鉄三条駅と京都市営地下鉄三条京阪駅があり、京阪電鉄の京阪本線と鴨東(おうとう)線が鴨川沿いの川端通地下を南北に、東西線が三条通地下を通って東西に走る。だが、地上は市中心部の駅前に似つかわしくない広さ約6500平方メートル、約260台収容の駐車場が広がる。 京阪電鉄と地下鉄の交通結節点で、訪日外国人観光客でごった返す祇園(東山区)や四条河原町(中京、下京区)まで歩いて5~10分。それにもかかわらず、周辺には ・古い市営住宅 ・旅館跡の空き地 ・廃屋となった飲食店跡 ・閉校した有済(ゆうさい)小学校跡 などが点在する。訪日客の姿は見かけるものの、祇園や四条河原町のようなにぎわいは感じられない。 三条通で営業している飲食店で話を聞くと、従業員の女性が 「ずいぶん前から再開発の話があったのに、動かないまま。訪日客で混雑する四条通や祇園の飲食店がうらやましい」 と表情を曇らせた。
都市再生緊急整備地域は年度内指定へ
そんな三条駅前の再開発が動き始めた――。 京阪グループの中核となる京阪ホールディングスが2023年、長期経営戦略に東山観光の拠点となる京文化発信の複合施設を整備し、ターミナル機能を強化する基本方針を盛り込んだからだ。 さらに、三条駅前は都市再生緊急整備地域に国から指定される見通しだ。内閣府地方創生推進事務局は 「年度内には指定する」 と説明した。地域は西が鴨川、東が市営住宅の並ぶ三条東公園付近、北が三条通、南が若松通と古門前通のほぼ中間線までの約9.6ha(1辺が310mの正方形の面積)。民間の都市再生事業が税制上の優遇や規制緩和を受けることが可能になる。 京都市まち再生・創造推進室は「事業者から具体的な計画が出ておらず、何ともいえる状況でない」と述べたが、付近の商業者から 「三条駅前は市中心部に残った“最後の一等地”。核となる施設ができれば、周辺の民間投資も進むのでないか」 と期待する声がある。