【政治解説】「自民党支持層が離れるのは致命的」内閣支持率7か月連続で“危険水域”その意味とは… NNN・読売新聞 5月世論調査解説
「もう上がることはないだろう」自民党党内からはあきらめの声も
【菅原】 岸田首相はどうでしょうか。復活できますか。 【竹内】 当初は、小渕内閣のように復活したケースもあるので、「そういうこともあるかな」と思って見ていましたが、ここまで低迷が続くと、ちょっと復活は難しいとみられています。ある自民党議員は、「もう岸田政権で上がることはないだろう」と厳しい見方を示しています。数字を分析すると、よりいっそう厳しいことがわかります。内閣支持率は全体では26%でしたが、自民党支持層に限ってみると64%でした。64%というと高いようにも見えますが、自民党支持層の内閣支持率は低くても8割、普通は9割ぐらいはあるものです。自民党を支持していて、その自民党の総裁が首相の内閣ですから、それぐらい支持があっても当然なわけです。しかし、岸田内閣では今年の1月以降、自民党支持層でも60%前後、低い時には50%台もありました。これはかなり異常なことだといえます。実際、「無党派層の支持が離れていくのは良いけれど、自民党の支持層が離れていくのは致命的だ」と言う自民党議員もいました。私が選挙の取材でお世話になっている人がよくいっていました、「自民党は支持層に見放されると負ける。支持層を固めれば勝てる」と。
「政権交代を認めるような空気感」
【菅原】 今回の世論調査では、「次の衆院選後の政権はどちらを望むか」という質問で、「自民党中心の政権を継続」と、「野党が中心の政権に交代」が、どちらも42%ときっ抗しました。これには驚きました。 【竹内】 そうですね。この結果は永田町でも衝撃をもって受け止められました。自民党ではやはり危機感が高まっていて、閣僚経験者のひとりは、「政権交代の圧力のようなものを感じる」と。別の自民党関係者も「政権交代を許すというか、政権交代を“認める”ような空気感が出てきている」と話し、自民党の重鎮ですら「もうどうやっても、次の選挙がかなり厳しくなるのは覚悟しないといけない」と言っていました。逆のサイドからみると、野党の閣僚経験者は「立憲民主党が誕生してから最大の政権交代への期待感になっている」と言っている他、野党の若手議員は、このコメントが私はすごく印象的だったのですが、「1年前なら政権交代なんて言っても笑われていたが、今はそうではない」と。やはり、かなり手応えを感じているようです。 【菅原】 そうすると、解散に踏み切るのはなかなか難しくなりますよね。 【竹内】 そうですね。自民党議員はそろって「解散できる状況ではない」と話しています。ある経験豊富な自民党議員は「いざ選挙になったら、有権者の心の底にあった、“怒り”や“不信感”が表面化する」と、危機感をつのらせています。一方で、野党の幹部は「このあと(岸田内閣にとって)状況が良くなることはないから、むしろ、この国会がラストチャンスと解散する可能性があるのでは」と警戒していましたし、別の幹部も、「6月に(イタリア)サミットがあるので、得意の外交で実績を出して、そこで解散ということはあるのではないか」と警戒しています。野党側からすると、岸田内閣は追い込まれているので、“窮鼠(きゅうそ)猫を噛む”ではないですが、「急に解散に打って出るのではないか」と疑心暗鬼になっているわけです。