「ママみたいにならなければ」10歳で摂食障害に…。小児科医が警鐘を鳴らす、“完璧な親”が子どもに与える悪影響
“完璧な親像”が子どもに与える悪影響とは?
ネットやSNSが発達している現代社会は、子育てするにあたって様々な情報を簡単に得られるという点ではとてもありがたい時代になったと思います。 【医師が解説】子どもの「発達障害」の受診を考えるなら…医療機関の選び方のポイントと注意点 しかし、調べているうちに、子育てにおいて、何が正解なのかが分からなくなってしまっていませんか? 自分の子どものためだと思って、色々と実践してみたけれど、いまいち結果に結びつかない…。 もしかして、良かれと思ってやっていたことが、子どもの脳を育てるためには逆効果だったなんて事があるかもしれません。 そんな“子育てにおける誤解”を小児脳科学者である成田奈緒子先生が詳しく解説した著書『誤解だらけの子育て』をご紹介します。 今回は「子どもの前では完璧な姿を見せる」というトピックをご紹介。 子どもは親の影響を大きく受けます。だからこそ、子どもの前で親はどうしても“完璧”であろうとしてしまうのではないでしょうか? でもそういった立ち振る舞いは子供にとってリスクにもなりうるのだそう。その理由とは?
【誤解!?】子どもの前では完璧な姿を見せる
子どもの脳は、よくも悪くも親の言動から大きく影響を受けます。だからこそ、家族同士でも「ありがとう」「ごめんなさい」というコミュニケーションを欠かさないこと。そして親自身が他責思考に陥ることなく、「おかげさまで」の気持ちを持って物事を常にポジティブに捉える姿勢を、子どもに示す必要があります。 ところが、「親は模範的であるべき」という意識が強すぎるせいか、何かにつけ、子どもに自身の武勇伝を語りたがる親御さんがいます。 「お母さんは学校のテストで、80点以下なんて取ったことなかったわよ」 「お父さんは毎日サッカーの自主練を頑張って、レギュラーを勝ち取ったんだ」 子どもを叱咤激励しているつもりなのでしょうが、これはむしろ、子どもの脳育ちにとってマイナスにしかなりません。 なぜなら、親からの「能力や努力の誇示」は、子どものやる気を削いでしまうからです。 一度「自分の親は完璧だから、どうせ超えることなどできない」と感じてしまうと、子どもは早々に、自分には成長の余地がないと諦めてしまいます。その結果、自己肯定感も下がってしまうのです。 また、親から発破をかけられ、子ども自身も最初はやる気に満ちていても、のちのち心身に不調をきたすケースもあります。 あるお母さんは、高学歴で高収入、おまけに美人で料理もすべてこだわりの手作り、という完璧主義。ところが、その下で育てられ、成績優秀で運動神経も抜群だと期待された女の子は、10歳にして摂食障害を引き起こしてしまいました。 彼女は「私も、ママみたいなりたい」と食事制限を頑張るあまり、いつの間にか「ママみたいにならなければ」という強迫観念に囚われるようになっていたのです。 「食は、親が示せる愛情表現の一つ」という考えは今なお根強いようですが、親御さんが完璧な食にこだわりすぎるあまり、お子さんが摂食障害になってしまったケースも、私はこれまでたくさん見てきています。 かように完璧で立派な親の姿は、リスクになることも十分あるのです。