【毎日書評】「ムダなアイドリング時間を減らす」すぐやるために有効なトヨタ流仕事術
「一生懸命がんばっているつもりなのに、なかなか成果が出ない」 「段取りが悪く、仕事がどんどん山積みになってしまう」 「気をつけているつもりなのに、何度も同じ間違いをしてしまう」 こうした悩みを抱えている方は、決して少なくないでしょう。『トヨタで学んだハイブリッド仕事術』(森 琢也 著、青春出版社)の著者も、過去には同じようなところにいたようです。 しかし、あるとき会社の同期から「自分を責めるな、やり方を変えろ」というトヨタの教えに沿ったアドバイスをもらい、それが転機になりました。 その日以来、私は優秀な上司・同僚が近くにいることを幸運と捉え、彼ら彼女らの仕事の“やり方”を積極的に観察し、学ぶようにしました。(「はじめに」より) その結果、いままでできなかったことが、すぐにできるようになったのだとか。そして入社前から自分で決めていたとおり、約10年でトヨタグループを退社。別の会社を経て独立起業し、現在は中小企業から大企業までのクライアントに向けて経営コンサルや研修・セミナーを提供しているのだそうです。 仕事柄、さまざまな業界や職種の方と一緒に仕事をしますが、トヨタグループで学んだ仕事術は、どこに行っても何の仕事をしても通用する、不変のスキルだと実感しています。 実際に、元落ちこぼれ社員だった私が、会社設立初年度、従業員ゼロで年商5000万円を達成できたのも、トヨタグループで学んだ仕事術が基盤になっています。(「はじめに」より) そこで本書では、著者がトヨタグループで学んだカイゼン手法を用い、個人の力を開花させる仕事術をまとめているわけです。きょうは3章「ムダなアイドリング時間を減らす」のなかから、気になるトピックスを抜き出してみたいと思います。
気が思い仕事でスタートダッシュを決める「4分ルーティン」
大きな仕事を目の前にすると気が重くなり、着手がますます遅くなるという悪循環に陥ってしまいがち。そう指摘する著者は、気が思い仕事にもさっと取り組めるようにするための2ステップを紹介しています。 STEP1「終わるまでの面倒や手間」ばかり考えない まず最初のステップは、「終わるまでの面倒」ばかり考えるのをやめること。着手が早い人は、面倒ではなく「初速をつけるまでの時間」を気にするものだというのです。しかも、気の重くなる大きな仕事ほど初速が重要。「いかにスタートダッシュを決めるか」が仕事の成否を分けるということです。 では、「初速をつけるまでの時間」を短くするにはどうすればいいのでしょうか。著者によればポイントは、「最初の4分間」にあるようです。 アメリカの心理学者であるレナード・ズーニンが提唱した「ズーニンの法則(初動4分の法則)」をご存知でしょうか。わかりやすく説明すると、仕事でも勉強でもスポーツでも、何かに取り組むときに最初の4分間を頑張ると、その後も継続して取り組めるようになるというものです。(83~84ページより) 4分間だけがんばり続ければ、“やる気スイッチ”がオンになるということ。それだけで初速がつくのなら、ぜひ試してみたいところです。 STEP2「すぐにできて」「2分程度で終わる」アクションを2つ考える では、その4分の間にどんなことをすればいいのでしょうか。人間の脳は大きな変化を嫌うとされているため、いきなり大きなアクションを起こすのは難しいそう。 そこで著者がすすめているのは、4分を「すぐに取り組めて2分で終わる」2つの「小さなアクション」に分け、そこからスタートすることです。 まずは2分×2アクションで合計4分を頑張りましょう。 ズーニンの法則通り、4分で1アクションでもいいのですが、2分で終わる内容のほうがより簡単で着手しやすく、しかも作業が2ステップで進むわけですから、達成感も2倍感じられます。(86ページより) この2つのアクションを確定させてルーティン化すれば、初速をつけるのにより効果的であるようです。(82ページより)