【大英帝国から連綿とつづく貴人の義務(noblesse oblige)の精神】苦境のスリランカを支えている大英帝国のレガシー
『2023.11.11~12.28 47日間 総費用22万円(航空券8万7000円含む)』
スリランカで最も人気のスポーツは“クリケット”
スリランカのスポーツではクリケットが断トツ人気である。インド、パキスタン、オーストラリアなど旧大英帝国領の国々(Commonwealth of Nations)ではクリケットは、お馴染みのスポーツである。スリランカでもクリケットのバットを持って歩いている少年を頻繁に見かける。 2023年11月はクリケット・ワールドカップが開催されていた。スリランカのテレビでは連日全ての試合が放送されており、カフェやバーなどは熱狂的なファンがテレビにかじりついていた。ちなみに決勝戦はインド対オーストラリアだった。スリランカ人は熱心にオーストラリアを応援していた。人種的・地理的に近いインドではなく白人選手中心のオーストラリアをなぜ応援するのか不思議に思えた。何人かに聞いたが、スリランカ人は心情的にインド人を嫌っているからだという。大国インドに経済的に支配されるのを警戒しているようだ。 人口12万人の高原都市キャンディーには植民地時代から続く二つのクリケット・クラブがあった。また学校には整備されたクリケット・グランドがある。英国植民地時代に創設された名門私立校トリニティー・カレッジ(13年制の男子小中高一貫校)には通常使用するグランドの他に国際公式クリケット・グランドがあった。
1877年創設のザ・キャンディー・クラブ
11月29日。キャンディー湖畔の高台に由緒ありそうな建物があった。『ザ・キャンディー・クラブ1877創設』と小さな看板が門の横に掲げられていた。英国式紳士クラブなのだ。事務所で話を聞いていると支配人が館内を案内してくれた。 独立前は英国人と一部オランダ人のみが会員だったが、独立後は地元名士の社交場となっている。こんな立派なクラブが100人超の会員だけで運営されていることに驚いた。6年前に訪れた元英国領のボルネオ島のコタキナバルのクラブも同様にメンバー資格を得るには事前の資格審査や会員の推薦などハードルが高かったことを思い出した。 ザ・キャンディー・クラブの建物は創設時のオリジナルであり、内装・調度品も当時のまま。メインダイニング・ルーム、バー、ビリヤード室、カード・ルームなど歴史を感じさせる落ち着いた装飾とインテリア。エリザベス女王とチャールズ三世の肖像が掲げられ、往時のセピア色の写真には狩猟の後で獲物と一緒に写っている乗馬姿の会員があった。