事実とフィクションの融合物、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』はこうして誕生した
『ドラキュラ』に籠められた愛国メッセージ
ブラムは『ドラキュラ』に、こっそりと愛国メッセージを籠めたと言われる。 ルーマニアという外国から英国に上陸したドラキュラ伯爵が、地元民の血を吸うことで奴隷化し、支配を試みるが最後には滅ぼされるストーリー展開を、アイルランド人であるブラムの視点で見てみよう。 アイルランドにやってきた英国が、人々から搾取し支配するが、立ち上がったアイルランド人が最後には勝利し自由を勝ち取るという解釈になろうか。なるほど興味深い着眼点である。 移住した英国に親しんだと言われたブラム・ストーカーだが、その一方で、彼の存命中には実現しなかった祖国の独立を夢見ながら、愛国心からイギリスをちょっと皮肉ったメッセージが隠されているとしたら、この吸血鬼物語は意外と奥が深いのかもしれない。 【ダブリン城 住所】 Dame St, Dublin 2, Ireland 【トリニティ大学 住所】 College Green, Dublin 2, Ireland 【ブラム・ストーカーの元住居 住所】30 Kildare St, Dublin 2, D02 X725, Ireland 文・写真/織田村恭子(アイルランド在住ライター)日本の多岐に渡る雑誌に現地ニュース、歴史・社会問題、旅行、料理等、記事・エッセイを執筆。またNHK地球ラジオをはじめ日本のラジオ番組へもアイルランドからニュースを発信。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織海外書き人クラブ会員。
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