老いては煩悩に従え! 「不倫バッシング」で日本が衰退するワケ【和田秀樹×池田清彦】
つまり、そこには齢を重ねた男性が活力をキープするという側面があったわけです。もちろん今とは時代状況が違いますが、妾はともかくオトナ向けコンテンツぐらい自由に観られたらいいのに、という話です。とりわけ男性ホルモンの多寡が健康長寿にダイレクトに関わる70代以上は、大目にみてもいいと思うんです。 池田 同感だね。年寄りほど楽しく生きないといけないわけで、相手が嫌がるのでなければ老いらくの恋もいいし、プロが相手をするお店を利用してもいいと思う。
「スケベじじい」をバカにする元気のない国
和田 もともと日本は性に対して概して大らかだったのに、今は真逆になりました。自分の心の声に忠実に生きている男性、歳をとっても色めいた感性を大事にする人をバカにする風潮をみると悲しくなります。 池田 それだけ今の日本に元気がない。その裏返しじゃないかな。 和田 どういうことでしょう? 池田 日本に元気がない、というのは多くの日本人男性、オスたちが元気でないということでしょ。だから、自分より楽しいことや面白いことをしているオスがいると、それが気に食わないわけ。 昔は、けっこうな齢でも美女を連れ回しているじいさんがいたら、「面白いことをやってるなあ、俺もやってみよう」という具合にモチベーションにもなったのが、今はそんな余裕のあるオスが少なくなった。逆に、女性にモテて人生を謳歌してるような男性を見つけると、とにかく妬んで引きずり下ろすしかないんだな。自分にはできそうもないからそうなる。 和田 どうも男らしくないですね。 池田 だけど、金がなくて女にもモテない男はだいたいそんな風になるものよ。元気のない男が日本中に溢れていて、しかも大多数だから、マスコミも彼らの溜飲が下がるようなニュースを流して視聴率を稼ごうとする。 有名人の不倫をやたらバッシングするのもそう。どこの誰が誰と寝ていようが、本来、赤の他人に何も関係ない話なのに、延々とゴシップを垂れ流しているのも、根っこにあるのは嫉妬でしょう。 和田 元気な人たちの足を引っ張っていたら、社会はますます元気がなくなります。 池田 悪循環だね。だから、いつまで経っても日本はパッとしない。 コンプラに縛られない2人の「オス」の話はさらにヒートアップしていき、第2回〈オスが「浮気」するのは自然の摂理? 子孫を残すための戦略が男女で異なる、驚きの理由とは【和田秀樹×池田清彦】〉では「熟女がモテモテ」のニホンザルの社会に光をあてる。 ※『オスの本懐』(新潮新書)より一部抜粋・再編集。
デイリー新潮編集部
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