リチウムを含んだ黄鉄鉱をめぐって現代版ゴールドラッシュが起こる?
パイライト。黄鉄鉱。鉄と硫黄から成る鉱物ですが、見た目のゴールド色から金と間違われることがあり、「愚者の黄金」と言われることもあります。 が、この愚者の黄金は現代では全然愚者ではなかったのです。非常に価値のある金属、リチウムがパイライトに含まれていることが最新研究で明かされました。
ゴールドラッシュ新時代?
今回研究されたパイライトは、デボン紀中期、約3億9000万年前にアメリカのアパラチア盆地で形成された15の岩石。リサーチチームは、これらの岩石(頁岩)のパイライトミネラルからリチウムを発見。パイライトが新ゴールドラッシュの幕開けとなるかもしれません。 チームの論文にはこうまとめられています。 「リチウムは有機物に富んだパイライト岩の中に隠されているのかもしれません。パイライトはアパラチア盆地で一般的なミネラルであり、もしリチウムが経済的に採掘できるとわかれば、デボン紀のこの場所がパイライトの採掘場となる可能性もあります」
現代に欠かせないリチウム
リチウムは電池を作るのに必須であり、クルマからパソコンまで幅広い製品のバッテリーに必要。特に電気自動車の普及でその需要が非常に高まっています。 リチウムには欠点もあります。その採掘プロセスが、環境、社会、人権に影響を与えてしまうこと。そして引火しやすいこと。
ぜんぜん愚者じゃない!
愚者の黄金と言われてきたパイライトですが、実は2021年には本物の金が含まれるという研究も出ていました。 また、今回の研究では、別の価値ある金属を含んでいる可能性もあるといいます。今回の論文の共同執筆者であり、ウェストバージニア大学の堆積地球化学者であるShailee Bhattacharya氏いわく、今回のリチウム発見は前例はないもので、リチウムとパイライトの関係についてもまだわからないことだらけだといいます。 また、今回の研究でパイライト=リチウム採掘を結論づけるのは安易であると、Bhattacharya氏は警告しています。一方で、昨今需要が高まるリチウムが新たに採掘場を見つけずとも、眼に見える場所にあるかもしれないことを示すものでもあるといいます。 論文は「European Geosciences Union General Assembly 2024」で発表され、ウェブでも公開されています。
そうこ