「推し活」人口1000万人超 無関係と思っている企業に隠れた商機
「推し活」のビジネスチャンスとは?
「推し活」人口が増加するとともに、推し活グッズの販売や関連イベントの開催など、さまざまなビジネスチャンスも広がっている。 例えば、推し活グッズでは、個人で推しのネームボードやうちわをつくる人たちは前々からいたが、近年では企業が推し活グッズを制作し、販売するケースが増えている。推しのぬいぐるみやスイーツ、推しをイメージした香水などがつくられ、元来の「応援グッズ」にとどまらない関連商品・サービスが数多く販売されている。 中でも「推し色」は、推し活ビジネスにおける重要なキーワードの1つになっている。例えば、東京・表参道にあるCafe de Lapisは、琥珀(こはく)糖を宝石に見立てた「宝石スイーツ」が推し活に適していると評判だ。琥珀糖は全14色。カフェの利用者は、自分の好きなアイドルやキャラクターの誕生日や記念日などに来店し、キャラクターの「推し色」を選んだ上で、スイーツと一緒に推し活グッズを並べて撮影して楽しんでいる。 Cafe de Lapisでは、完全個室で推し活が堪能できるプライベートルームサービス「The Room」も用意する。最大6人まで利用できる個室で、推し活仲間が集い、ライブDVDの上映会や誕生会を開くなど、自分たちだけの特別な空間・時間を楽しめる。 「推し色」については、横浜マリンタワー(横浜市)が提供するライトアップサービス「ライトオブウィッシュ」も面白い。例えば、定番の「COLOR LIGHT UPプラン」では、12色の中から好きな色を選んで約20分間、横浜マリンタワーをライトアップできる(税込み4万4000円)。ほかにも、オリジナルカラーと特別な演出が施せる「お祝い LIGHT UPプラン」(点灯時間20分:演出1分+カラー点灯19分、税込み6万6000円)などがある。 ●推し活ビジネスは、企業側の「理解」が必須 人気キャラクターのコラボ商品やキャンペーン、駅や繁華街を特定広告で埋め尽くすエリアジャック、バス・電車のラッピング企画など、「推し活」は今やさまざまな場所・地域でビジネスとして発展している。ところが、現状のコラボレーション企画の多くは、「とりあえず人気のキャラクターを起用する」というシンプルな構造がほとんどで、まだ発展途上といえる。 「作品やキャラクター、人物にどれだけイメージが合っているか。自分の推しをどれだけ企業側が理解して大切に扱ってくれているか。そういったことが購買意欲を左右する重要なポイントになります。そこができているかどうか」と多田氏は指摘する。 推し活ビジネスをする企業や団体にとっては、悩みや課題が少なくない。企業や市町村側は、さまざまな作品やキャラクターとコラボレーションしたいと考えているものの、どのような企画やプロジェクトにすればうまくいくのかが分からないため、「手を出せていない」(多田氏)という。一度プロジェクトを成功に導いても、継続的な販売計画に生かせていないというケースもある。 「推し活ビジネスは非常に高度なライツビジネスともいえる部分が多くあります。売り上げは期待できるものの、非常にセンシティブ。私は推し活総研でそのあたりの知見やマーケティングデータを提供しながら、推し活ビジネスの手助けをしたいと考えています」(多田氏) 多田氏が創業したOshicoco(東京・渋谷)は、「推し活」コンサルティング事業を他社に先駆けて実施してきた「推し活」事業のリーディングカンパニーだ。 例えばあるアニメ作品の舞台に選ばれたことで、ファンたちの「聖地巡礼」が流行し、突然「もうかる」市町村がある。市町村の観光課としては、これを今後のビジネスに生かしていきたいと考える。だが、作品の舞台に「推し」のぬいぐるみやキーホルダーを持参して各地で写真を撮って去っていく推し活ユーザーに、一体何を提供したらいいのか。どうしたら、もっと観光地にお金を落としてくれるのか。 「そこのイメージが湧きにくい」と多田氏は語る。Oshicocoはそうした課題を解決するために、キャンペーンの打ち方、コラボレーション商品の展開方法、コラボレーションの発信方法などの相談に乗る。