<掛布が選ぶ>2015プロ野球10大ニュース
激動の2015年も終わろうとしている。日本のプロ野球界も明るいニュース、暗いニュースで溢れた。1、2、3軍制を敷いたソフトバンクは、その強力な組織力を生かしてシーズン90勝をマーク、日本シリーズでもヤクルトを圧倒し日本一に輝いた、一方、巨人の3選手による賭博関連事件も起きた。我々がもう一度襟を正し、ファンに夢を売るプロ野球選手が公私を含めどうあるべきかを自戒させられた事件でもあった。私自身で言えば、まったくもって予期していなかった2軍監督という、やりがいと責任のある大変な仕事を阪神タイガースから拝命したことも、人生において大きなニュースだった。2015年の年の瀬に、私なりのプロ野球10大ニュースを印象度の順番にピックアップしてみたいと思う。
1 セ、パ同時トリプルスリー誕生 流行語大賞にも選ばれたこの出来事が一番だろう。ヤクルトの山田、ソフトバンクの柳田というトリプルスリーを達成した選手が、65年ぶりに2人同時に誕生した。しかも、山田は38本、34盗塁で、本塁打王と盗塁王の2冠。柳田も西武の秋山を抑えて、打率.363で首位打者を取った。トリプルスリーに到達したばかりでなく、タイトルに絡んだハイレベルな「3・3・3」であったことを高く評価すべきだと思う。おそらく来季は、各球団のマークがさらに厳しくなるだろうが、その壁を乗り越えれば、もう一皮剥け、トータルでまたトリプルスリーに近い数字は残すだろうと見ている。 2 西武・秋山の216本のシーズン最多安打記録 バットコントロールの素晴らしさもさることながら、彼の良さは、打てるボールを見極め我慢できることに尽きる。チーム貢献が、常に頭にある証。ちなみにデータによると、ボール球に手を出してしまった確率は、トータルで26パーセントしかなかったそうだ。 3 1、2、3軍力でソフトバンク日本一 圧倒的な選手層の厚み。加えて1,2軍、2,3軍の間に競争の原則がある。資金力に環境。フロントのビジョン。あらゆる条件が整わねば導入は難しいが、阪神が見習うべき組織力だ。 4 全球団貯金ゼロの異常混セ そもそもは交流戦でセがパに完敗したことが原因。全球団が貯金ゼロとなるペナントレースは、厳しい言い方をすれば非常にレベルの低い野球だったとも言える。 5 投高打低現象 セの打撃10傑で3割打者は3人だけ。パも5人だ。特にセに顕著だが、投高打低現象が起きているように感じた。バッティングマシンを使って四六時中、打てるような環境となって、飛躍的に打撃技術は向上していたが、今度は逆にツーシームの全盛があらわすように投手側が小さく打者の手元でボールを変化させるなど工夫を始めて逆転現象がおきつつある。マシンを使って固めた技術は、スピードには強いが変化には崩される傾向がある。あえて崩れてからの技術がプロの醍醐味であるが、各チームの中継ぎ、抑えの分業制の確立、統一球の導入なども影響したのだろう。この先、また追いつき追い越せの逆転を繰り返しながらプロの技術が進化すればいいのだが、野手出身の私としては、今の投高打低現象は寂しい気がする。