【天皇賞(秋)回顧】衝撃の“上がり32秒5”…ドウデュースの爆発力を引き出した「ユタカマジック」
リバティアイランドの敗因
2着タスティエーラはドウデュースのひとつ下のダービー馬。ダービー以降勝ち星がなく、2020年世代が弱いという論調の象徴のように語られるが、ソールオリエンスの宝塚記念2着と合わせ、意地はみせた。 一旦、手応えで怪しくなりながら、ドウデュースと併せると盛り返しており、勝負根性はダービーを勝ったころと変わりない。クセのないコースで先行馬に優位なペースになれば、実力を出せる。ジャパンCは状況的に合致しそうで、楽しみだ。 3着ホウオウビスケッツは逃げたいシルトホルンを待たずに、思い切ってハナにいった。同厩舎ノースブリッジがスタートで遅れ、プレッシャーをかける存在がおらず、最高の形でレースを支配できた。 直線では一旦はセーフティーリードをとり、見せ場たっぷり。単勝を握りしめ、声が枯れるまで叫び続けたファンもいただろう。3歳時のフリージア賞でみせた後半1000mすべて11秒台というラップ構成がこの馬の原点。コントロールも効くようになり、重賞2勝目も近い。それどころか、2400mでもこの競馬ができれば期待はある。 リバティアイランドは13着と大敗した。ドバイから7カ月ぶりの実戦復帰で天皇賞(秋)という過程はやはり難しいのか。 序盤の攻防で少し機嫌を損ねる場面もあったが、それだけが敗因とはいえない。位置取りとしては文句なしだったが、全体的に歯車が狂った印象もあり、もしかすると今後も静観したほうがいいかもしれない。負けたといっても二桁着順である以上、敗因はひとつに絞れない。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳