東京大学が学費値上げを発表。「ますます富裕層しかいなくなってしまう」現役東大生の本音とは
授業料一部免除は根本的な解決にはならない
東大当局は、今回の学費値上げに際して「世帯年収に応じた経済的支援の拡充」を約束しました。具体的には、従来は世帯年収400万円以下の世帯が対象であった授業料一部減免の対象を、600万~900万世帯まで広げます。 とはいえ、これが根本的な解決にならないことは明らか。私も授業料免除を当初申請していましたが、多数の書類を用意せねばならず、一か所でも不備があればやり直しになりました。 世帯年収に関する質問などは親と綿密にコミュニケーションをとる必要が生じ、仕事で疲れ切った両親に余計な負担もかかります。さらに、多数の生涯を乗り越えて申請を行っても、免除が確定するまでは、余計なストレスをおわなくてはいけません。
現役東大生の声
今回の学費値上げについて、東大生から意見を募りました。多くの「反対」意見の中にいくらか「賛成」の声も上がりました。 反対意見の主な論旨は 「ますます富裕層しかいなくなってしまう」。 「国立大学から『安い』メリットを取り除くべきではない」。 一方で、賛成意見は 「世界的に学費が安い東大は、研究費も少ない。結果的に研究力低下の一因になっているのは否めない」 「頑張って東大に来たのに、設備がしょぼくてガッカリしたのは確か。次世代にそういう思いをさせたくはない」 立場は違えど、どれも、後輩となる未来の東大生たちを案じての一言でした。 今回、学費値上げを敢行した背景には、国立大学の金欠があります。年々、国立大学運営交付金は減少しており、平成16年度から比べると1,000億円以上も減額されている。 すなわち、東大が学費値上げを強行せざるを得なくなった背景には、国が教育に投資しなくなったことが大きく影響しているのです。 確かに、教育はすぐに結果が出る分野ではありません。ですが、次世代への質のいい教育の提供こそが、国力を上昇させる道なのではないでしょうか。教育予算を減額したしわ寄せが、現役世代にかかっています。今こそ、大人が立ち上がるべきなのではないでしょうか。 ―[貧困東大生・布施川天馬]― 【布施川天馬】 1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)
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