《イスラエル・ハマス大規模衝突》湾岸諸国が抱える「国益と民意」の微妙な乖離
Photo AC
10月7日、パレスチナのガザ地区を実効支配するハマースが「アル=アクサーの洪水」作戦を開始し、イスラエル領内へ侵入し1000人以上に及ぶ民間人を殺害した挙句、およそ150人を拉致して人質としたことは、二つの意味で国際社会に衝撃を与えた。 一つは、イスラエルがハマースによる大規模な軍事作戦を事前に察知できなかったばかりか、国境線を守ることが能わず領内への侵入を許し、1973年の第四次中東戦争以来となる多数の民間人の被害を出してしまったことだ。 ガザ地区の面積は約365平方キロメートルと東京23区の6割弱の広さしかない。イスラエルはガザ地区を壁やフェンスで封鎖し、ヒトやモノの出入りを厳しく制限してきた。ガザ地区内の武装勢力の動向も監視システムや諜報員の浸透により詳細に把握していると思われてきた。イスラエル軍とハマースの戦力差も大きく開いており、ハマースが大規模な軍事行動を起こせば徹底的な反撃を受けることは自明であった。イスラエル側にそうした慢心があったことが、今回ハマースに虚を突かれた原因であるかもしれない。
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村上拓哉