北半球と南半球、つむじの向きが違う? コイントス実験35万757回 おもしろイグ・ノーベル賞の研究
解剖学賞「北半球と南半球の人、頭髪と同じ向きに渦を巻いているかの研究」
解剖学賞は、フランスのネッケル小児病院のロマン・ホセイン・コンサリ教授らの「北半球に住む人の頭髪が、南半球の人の頭髪と同じ向きに渦を巻いているかの研究」でいた。 北半球のフランスと南半球のチリでそれぞれ生まれた子どもで、つむじの巻き方を調べました。 フランスでは反時計回りの子は50人中で1人でしたが、チリの子では50人中7人いました。統計的にみて、反時計回りの頭髪は南半球のほうが北半球より多いという結果です。 また、双子はお互いにつむじが逆向きになっていることが、ランダムに選んだペアよりも多かったといいます。 コンサリさんは取材に、「資金調達の圧力にさらされる今日では、ふつうではないテーマの研究をするのは難しい。この賞は、型破りな研究を紹介し、知識への道は必ずしも一筋縄ではいかないことを示すための、またとない機会です」とコメントしました。 ただ、なぜ受賞できたと思うかをたずねると、「本気でわからないんです」というお答えでした。
生物学賞「牛がいつどうやって乳を出すかを探求」
生物学賞は、アメリカにあるケンタッキー農業試験場のフォーダイス・エリーさん(故人)らの「牛の背中に立っている猫の横で紙袋を爆発させ、牛がいつどうやって乳を出すかを探求」が受賞しました。 牛がストレスを感じたときに乳の出方が変わるかどうかを研究したもので、論文は1939年に発表されました。 はじめは牛の背中に猫を乗せて、さらに紙袋を10秒ごとに爆発させるのを2分間続けておどかすと、牛は緊張して乳量が減りました。 ただ、その後は実験に猫は必要ないと判断して、使わなくなったといいます。 授賞式に出席するマット・ウェルスさんによると、祖父のエリーさんは1968年に亡くなりました。 エリーさんはイグ・ノーベル賞がたたえるユーモアのセンスがあり、エリーさんの娘であるお母さんも「受賞をとても喜んだはずだ」と考えているそうです。
確率賞「コイントス、理論と35万757回の実験で証明」
確率賞は、オランダ・アムステルダム大学のフランティシェク・バルトスさんらの「コイントスは投げる前と同じ向きで終わることが多いのを、理論と35万757回の実験で証明」でした。 投げたコインの動きをハイスピードカメラで撮影して分析し、最初と同じ面が出る確率は約51%になる、との研究を目にしました。 そのうえで、「12時間コイントスマラソン」を開いたりしてひたすらデータを集めたところ、投げる前に上を向いていたほうが事後も上を向いている確率は50.8%と、「五分五分」よりも統計的に明らかに高かったといいます。 自身の研究で最も気に入っている点をバルトスさんにたずねると、合わせて50人にもなる共著者の名前一覧だと答えました。「自由な時間を惜しまずに捧げてくれた」といいます。 「まともな神経の持ち主が、そんなこと(35万回以上のコイン投げ)をするでしょうか」 「イグ・ノーベル賞」ぜんぶ紹介、以上です。 ではまた来年を楽しみに。