「銅」を狙う窃盗事件が急増 背景に脱炭素!?【WBSクロス】
銅の価格高騰の背景にEV需要?
急増する銅線の窃盗事件。都道府県別では、茨城や千葉、栃木など北関東で多く、特に太陽光発電所で多く発生しているのです。背景には何があるのでしょうか? 太陽光発電所の売買などを手がける都内の会社「グッドフェローズ」でも4月、自社の管理する栃木県内の発電所で銅線の窃盗被害に遭ったといいます。 「銅が高く売れてしまうのがまず一つある。(太陽光発電は)人けがないところで山の中などに多い。人目につかないので泥棒からすると窃盗しやすい場所というのが二つ目」(グッドフェローズの長尾泰広社長) 世界で需要が急増する銅。電気を通しやすい特性を持つことから、EV(電気自動車)ではエンジン車に比べて4倍もの銅が使われるほか、AIの普及に欠かせないデータセンターの送電ケーブルなどにも多く使用されています。 アメリカの金融大手「ゴールドマン・サックス」は、「銅は新たな石油だ」というレポートを発表。需要はさらに増える見込みで、価格はこの1年間で3割ほど高騰。5月には過去最高値を更新しました。
こうした中、グッドフェローズが始めたのが、銅線の窃盗被害を防ぐ新たな対策です。 「これが対策品のアルミケーブル。アルミは全然高く売れなくて、銅の約20分の1と言われている」(長尾社長) 窃盗が相次ぐ銅線に代わり、買い取り価格が安いアルミを採用した送電用ケーブルを、5月から新たに導入しました。さらに別の対策も。
この日、長尾社長が向かったのは、銅線の窃盗被害に遭った千葉県香取市の太陽光発電所です。開発したばかりの新たな対策を持ってきました。 「『タイナビプロテクター』という名前で、ケーブルを切られないようにこれで覆う」(長尾社長) 登場したのは鉄板でできたプロテクターという製品。厚さおよそ2ミリほどで、銅線のケーブルの周りを覆っていきます。金属用のハサミなどでも切れない厚さで、通常の工具では外せない特殊な留め方がポイントです。価格は小規模な発電所の場合、50万円ほどから。7月からの本格販売を目指します。 「かなり頑丈なので普通のやり方だと切れない」(長尾社長) 拡大する銅線の窃盗による被害。今後は自治体などとも連携し、防犯のための更なる対策を進めたいとしています。 「太陽光発電所を所有すると、窃盗に遭うというイメージがつくと再エネは広がりをみせない。再エネといえば国策であると思うので、何らかの連携を行政と一緒にしたい」(長尾社長)