「20代が住みたくなる部屋」大学生のアイデアで産学官連携のリノベーションが実現!「秘密基地」の空間がある部屋
大学と不動産会社がタッグを組み、若者のアイデアを取り入れた住宅リノベーションが長崎市で行われた。学生が描いた「理想の部屋」が完成するまでを追った。 【画像】玄関はアーチ形にくりぬいた棚と照明がホッと落ち着く
キッチン付き7畳の部屋をリフォーム
8月、長崎市の不動産会社である会議が行われた。 テーブルには図面やパース。「20代が住みたくなる部屋」をテーマに「キッチン付きの7畳の部屋」を学生たちの提案をもとに、リノベーションが進められるのだ。 活水女子大学生活デザイン学科の「インテリアコーディート」の授業の一環で、大学と産学官連携を締結したABC不動産の協力で進められた。 学生は自分たちの設計が形になるまでを体感し、不動産会社は若い世代の理想とする部屋を知ることができる。 学生は「木を多く使ってぬくもりのある部屋の空間を作りたい」「狭いながらも収納を多くして機能的にできれば」と、それぞれの理想の部屋を設計した。
「秘密基地」の空間がある部屋
授業では、学生たちが賃貸マンションの一室のリノベーション案を考え、24の案が提案された。 常識にとらわれない、若者らしい自由な部屋の使い方、一方で細かいところまでこだわったデザイン性の高い案が揃った。 マンションのオーナーも参加して、1時間かけてようやく1つのデザインが選ばれた。実際に手掛けるのは、岩尾来夢さん(21)のリノベーション案だ。 クローゼットをなくし、曲線の壁で仕切られた秘密基地のような部屋を作るという、大胆な間取りの変更と、照明など細かい配置までの気遣いが高く評価された。 9月からリノベーション工事が始まり、岩尾さんも現場に立ち会った。設計や照明・壁紙の選定は終わっているが、現場では日々細かい確認が行われた。理想の部屋が着々と形になっていく様子に、岩尾さんは興奮気味だ。 岩尾さんにとってこだわりの空間は、幼少期の経験からヒントを得たものだった。 岩尾来夢さん: もともと幼少期に好きなことに熱中しているときに、母から「片付けなさい」とか「ご飯だよ」と言われて夢中の瞬間を途切れることがあり、それが嫌だった。好きに夢中になれる空間が作れてよかった。 現場では岩尾さんも特別に作業の一部を担当させてもらった。壁紙をきれいに貼るために釘の穴や石こうボードの隙間をパテで埋めていく作業だ。没頭すること約2時間。「作るところにもより興味を持った」と、授業での学びやパソコン上で作りだされたグラフィック画面とはまた違う感覚があった。