日本の戦争は「寝返り」が当たり前…将棋をさらにおもしろくした「持ち駒」という日本の独自ルール
■はじまりは平和主義的な戦争ゲーム 将棋は、長い歴史を持つゲームです。もともとは、古代のインドで考案された「チャトランガ」というゲームだとされます。これは、戦争を模したゲームで、兵士や象(古代インドでは象は兵器の一種です)に見立てられた駒を動かして、勝敗を決めたそうです。 「戦争を模した」というと物騒ですが、チャトランガは、戦争好きの王様がむやみに戦争をしないように、本当の戦争のことを忘れて、熱中してもらうために作られたゲームだという伝説があります。戦争を模しているけど、平和主義的というのが、興味深い伝説ですね。 このゲームが西に伝わってチェスに、東に伝わって中国や日本の将棋になったと言います。日本に将棋が伝わった時期は定かではありませんが、平安時代に使われていた将棋駒が見つかっており、少なくとも1000年前には、日本文化の一つになっていたようです。 ■約500年前には現在のルールに 将棋類には、駒に個性があるので、ローカルルールを作りやすいという特徴があります。本将棋には、斜めにいくらでも進める駒(角行(かくぎょう))や前にいくらでも進める駒(香車(きょうしゃ))などがありますが、「斜めに三歩だけ進める駒」、「前後には進めないけど横にはいくらでも進める駒」など、さまざまな駒が考えられます。 みなさんも、「自分の名前のついた駒があるなら、どんな動きをするだろうか?」と考えてみると、面白いかもしれません。 これに比べると、囲碁には一つ一つの石に個性がないので、地域ごとのルールの差は小さくなります。中国でも韓国でも囲碁が打たれていますが、概(おおむ)ねルールは日本と同じで、国際大会もしばしば開かれます。 平安時代に将棋があったと言っても、今の本将棋とはかなり異なるルールだったようで、今の将棋にはない種類の駒も含まれています。現在の将棋のルールができたのは、室町後期から戦国時代とされます。ときどき、大河ドラマには、織田信長や徳川家康が将棋を指しているシーンが登場します。彼らの指している将棋は、現代の将棋とほぼ同じものです。