中日ブルペンのリーダーに! 藤嶋健人が高校時代に語っていた「熱すぎるチーム愛」
最高の仲間たちと共に目指すのは全国制覇
そして臨んだ明治神宮大会1回戦明治神宮大会では強打者揃いの秀岳館と対戦。1番松尾 大河、4番九鬼 隆平といった主力打者とは中学時代に対戦をしている。 「中学に対戦した時は打たれた思い出しかありませんが、今やると案外抑えられるじゃんと思いながら投げていました」 秀岳館は藤嶋対策として、マシンを150キロに設定して、さらにスライダーを打つ練習を重ねて大会に臨んだが、藤嶋は力ではなく技で抑えにいく。球速が140キロを超えることは少なかったが、スライダー、カーブなど変化球を多用して抑えた。8回表には甘く入ったストレートを捉えられ、同点とされてしまったが、その裏、藤嶋が自らのバットで勝ち越し2ランを放ち、2失点完投勝利を挙げた。この試合、9安打を打たれたが、走者を出しながらも抑えたことで、さらに評価を高めた藤嶋。 「監督さんからは、走者を出してもいいけど点は与えるなと言われているので、そういう意味で、走者を出しても粘り強く投げられたのは良かったと思います」 と振り返った。そしてこの試合、二打席連続本塁打を放ち、高校通算37本塁打まで上乗せしたが、藤嶋自身は、それほど打者にこだわりはないという。 「4番打者として強く振るだけです」と話す藤嶋だが、実際にはスイングの強さは光るものがある。 1本目は1ボールからの2球目だった。甘く入った変化球を逃さず、豪快な本塁打。そして2本目は初球から打って、またも豪快な本塁打となった。秀岳館バッテリーは藤嶋を警戒して、初球はボールゾーンの変化球から入ったが、「あれはストライクでした」と振り返るように藤嶋にとって得意球だった。明治神宮大会の活躍により、さらに注目を集めた藤嶋。 秋が終わり、藤嶋は今、「ストレートの質」を向上させることに取り組んでいる。 「甘く入ってもファールになるようなストレートを投げていきたいと思っています」 そのため現在は肉体改造中だ。176センチ77キロだが、体重を80キロまで高めたいと思っている。そして1年秋の取材で語ってくれた「目標150キロ」に近づきつつあるが、藤嶋自身、スピードだけではなく、全体的なレベルアップを果たしたいと考えている。 「上の世界で活躍するために、投球の基礎がしっかりとできていないとダメなので、そういうところを突き詰めていきたいと思っています」 さらに、主将を務める藤嶋は、チームの成長についても手応えを感じている。 「全員、意識が高いですし、みんなで野球をやっている感じがあります。投打ともに力のある選手が揃っていますし、試合中の雰囲気もとても良いです」 そんな思いにさせたのが東海大会決勝戦だった。藤嶋は初回に6点を先制されたが、打線が盛り返し、最後は追いついてサヨナラ勝ちで東海大会優勝を決めた。 「あの時は点を取られても焦る雰囲気は全くなかったです。頼れるし、最高の仲間たちです。そんな仲間と全国制覇を目指したいです」 最後に、2016年の意気込みを聞いた。「1年生の時はただ思い切り投げていただけでしたが、もし選抜に出場することができたら、周りが見えて大人になった投球を見せたいと思っています」と決意を語った。甲子園デビューから1年半。試行錯誤を重ねながら、一回りも成長した姿を披露したい。 (取材・文/河嶋 宗一)