中日ブルペンのリーダーに! 藤嶋健人が高校時代に語っていた「熱すぎるチーム愛」
東海大会優勝につながったカットボール習得
秋季県大会3回戦では誉に0対1で敗れ、春の選抜を逃すと、夏でも渥美農戦では勝利したものの7失点、準決勝では中京大中京に打ち込まれコールド負けを喫し、安定感抜群だった1年夏と比べると「らしくない」内容だった。 このままでは甲子園に行けない…。そう思って藤嶋が取り組んだことはストレートのコントロール力のアップとカットボールの習得だった。夏が終わってから木下コーチと二人三脚で、自分が意図したところへ投げるために取り組んだのはフォームの修正だ。 「映像を見ると力一杯に投げようとして、球離れが早いフォームになっていましたので、その修正をしました」と打者寄りで離せるように修正に努めた。 またカットボールを習得したい意図は、左打者の内角へ厳しく攻められるボールが欲しかったからだ。握りは東邦の先輩で、2016年度のドラフト候補として期待がかかる丸山 泰資から教わり、ストレートと同じ腕の振りで投げる練習を繰り返していった。さらに「相手打者に直球を絞らせない」配球にもこだわった。 カットボールを習得したことは藤嶋の投球の幅を大きく広げ、冷静に投球ができるようになった。 「この場面はストレートで押すのか、変化球で交わすべきなのか、カットボールを投げて打ち取るべきなのか。意図通りの投球ができるようになったと思います」と語るように安定したピッチングで、3回戦の高蔵寺戦で1失点完投勝利、準決勝の栄徳戦では2失点完投で東海大会場を決める。そして決勝の享栄戦では2失点の好投。ここでも完投勝利を収め、県大会優勝を果たす。 そして東海大会でも安定したピッチングは続く。準々決勝では岐阜中京と対戦。中京は高校通算45本塁打の今井 順之助を1番で送り出す。が、この起用に藤嶋は逆に燃えた。自慢のストレートと、そして新チームから磨いてきたカットボールで今井を封じ込む。そのカットボールのキレは素晴らしく、対戦した今井も「ベース半分、曲がってきて、あれはカットボールじゃないですよ!」と驚くほどだった。 とにかく抑えることを考えて投げていた藤嶋は、7回参考記録(奪三振8、108球)のノーヒットノーランを達成。しかし「試合後にそれに気付きました」と語るほど、この試合藤嶋は集中して投げていた。 そして準決勝は、勝てば選抜へ大きく前進するこの試合でも、藤嶋は好投。この試合、最速146キロを計測したストレート、スライダー、カットボールのコンビネーションで被安打6、1失点に抑える。見事決勝進出を果たし、選抜へ大きく前進したのである。そして決勝では、いなべ総合を破り、明治神宮大会出場を決めた。 課題克服に取り組んだ秋は東海大会優勝と最高の結果を残すことができたのであった。