「ベッセント氏の米財務長官指名」に「トランプ関税」…金融市場はどう反応したか【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。
●ベッセント氏の米財務長官指名を受け、市場は米長期金利低下、ドル安、日米とも株高の反応。 ●その後トランプ氏の関税引き上げ発言で市場はリスク回避ムードに、人民元などが対ドルで大幅安。 ●ただ、日本株などは2016年当時より総じて小動き、トランプ政権も2回目となり、冷静に対応中か。
ベッセント氏の米財務長官指名を受け、市場は米長期金利低下、ドル安、日米とも株高の反応
トランプ次期米大統領は11月22日、財務長官に投資ファンド経営者のスコット・ベッセント氏を指名しました。ベッセント氏はトランプ氏に対し、「3-3-3」政策((1)2028年までに財政赤字をGDP比で3%まで削減、(2)規制緩和で実質GDP成長率を3%に押し上げ、(3)原油生産を日量で300万バレル増産)を提言しており、減税や規制緩和など、トランプ氏が公約で掲げた政策を推進していくとみられます。 週明け25日の日本市場では、ベッセント氏が財政規律を重視するとの見方から、前週末に4.40%水準で取引を終えた米10年国債利回りが朝方一時4.33%水準まで低下すると、為替市場では日米金利差の縮小を意識したドル売り・円買いが進み、日経平均株価は前週末比496円ほど上昇して取引を終えました。米国市場でも米10年国債利回りの低下は続き、ダウ工業株30種平均など主要株価指数が上昇しました。
その後トランプ氏の関税引き上げ発言で市場はリスク回避ムードに、人民元などが対ドルで大幅安
日本時間の翌11月26日の朝方、トランプ氏は中国からメキシコなどを経由して合成麻薬が米国に流入していることへの対抗措置として、中国からのほぼすべての輸入品に対し10%の追加関税をかけると表明しました。また、カナダやメキシコに対しても、大統領就任初日に25%の関税を課すための大統領令に署名すると発言しました。実現すれば、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)による幅広い分野での関税撤廃は停止となる恐れがあります。 トランプ氏の発言を受け、投資家の間にリスク回避ムードが広がると、26日の日経平均は前日比338円ほど下げて取引を終了、ドル円はリスク回避の円買いが優勢となり、ドル安・円高が進行しました。また、関税強化の可能性が警戒され、人民元、カナダドル、メキシコペソは対ドルで大きく下落しました。なお、米国市場では、関税引き上げによる生産コスト増の懸念から、自動車株の下げが目立ちましたが、主要株価指数は上昇しました。
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