丸山桂里奈が株式投資をするならどんな銘柄を買うのか
アスリートでありながら、投資家としての意識を持つ「アスリート投資家」たちに、自らの資産管理や投資経験を語ってもらう連載「 アスリート投資家の流儀 」。2011年女子ワールドカップ(W杯=ドイツ)制覇のなでしこジャパンの点取り屋で、2016年の現役引退後はタレントやコメンテーターなどで多彩な活躍を見せている丸山桂里奈さんの3回目です。 コノミヤ・スペランツァ大阪高槻(現・スペランツァ大阪)を2016年限りで退団し、現役を退いた丸山さん。その後はタレントに転身し、バラエティー番組に多数出演。元サッカー選手らしからぬ発言で人気を博しています。 そして2020年9月には、高槻時代に師弟関係だった当時の監督・本並健治さんと電撃結婚。2023年2月には第1子となる長女を出産し、ママさんタレントとして活動の幅を広げています。ピッチ上で勝負を懸けて戦うアスリートから人々を楽しませるタレントになり、さらには妻、母と、丸山さんは引退後の7年間で劇的な変化を遂げました。 それと同時に、お金を取り巻く環境も変わったはず。「稼いだものは思い切り使う」という基本的なスタンスは大きく変わっていないといいますが、これからは夫婦の未来、子供の成長も視野に入れ、しっかりとマネーと向き合わなければいけません。「ぜひ投資をしたい」と意気込む丸山さんに、未来へのビジョンを聞きました。 ■投資に興味はあるけれど、なかなか踏み切れない ――タレント転身後は収入もお菓子を配る金額も増えたという丸山さんですが、資産運用や投資はされているんですか。 丸山:投資というわけではないんですが、2019年の年末に熱海に4LDKくらいの別荘を買いました。番組に出たときに「両親が海も山も見える別荘がほしいと言っている」と話したら、スタッフさんが探してくれて、すごくいい物件に出合った形です。今は娘もいますし、「1カ月に1回ペースで行きたいね」と家族と話をしています。 ――不動産投資に興味があるんですか。 丸山:興味はありますけど、だまされるリスクもありますよね(苦笑)。お金を置いたままにしておくのはよくないとわかっているんですけど、なかなか思い切って踏み切れないですね。 株や投資信託などにも関心がないわけではないし、銀行の担当者からも「持っているものを増やしましょう」と勧められているんですが、どこからやればいいのかわからなくて、そのままという感じです。 ――家族の財布は? 丸山:本並さんとはまったく別で、光熱費とか必要経費を共同の財布に入れて払っている形です。本並さんは「好きなものがあれば買えばいい」というスタンスですが、最近は「まとまったお金を貯めよう」と言い始めて、クルマを1台売りました。 マネーに詳しい友人がいるので、相談することもありますけど、「まずはNISA(少額投資非課税制度)とかiDeCo(個人型確定拠出年金)で始めたらどうか」と勧めてくれているので、今、申し込みをしようか検討しているところです。一般的なところからスタートするのは安心感がありますからね。 ■リスク許容度はどのくらい? ――突然ですが、丸山さんは手元に100万円の投資可能な資金があったとしたら、いくらまで減っても大丈夫ですか。いわゆる「リスク許容度」に関する質問です。 丸山:そうですね、30万円減ってしまって、70万円が残るところまでなら大丈夫かな……。自分が「絶対に上がる」と思えるのなら、迷うことなくお金を投じられるタイプではありますね。 ――さすがは勝負師。チャレンジングですね。丸山さんが興味を持っている業界や会社はありますか。 丸山:そうだなあ、お菓子を頻繁に買いに行っているドン・キホーテ(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>)なんかはいいかもしれないですね。もちろん「majicaカード」も持っていますし。株を持っていると、株主優待があったりしますよね。そういうのもメリットがありそうですね。 ――株主優待を目当てに銘柄を選ぶアスリート投資家もいます。以前、連載に登場していただいた 女子バレーボールの荒木絵里香さん もそんな話をしていました。同じ子供を持つ母親として共感できるところもありそうですね。 丸山:荒木さんが着目している銘柄は確かに興味深いですね。マクドナルド(日本マクドナルドホールディングス<2702>)が挙がっているようですけど、確かに子供が喜びそうですね。イオンモール(8905)の株も持っているということですが、ポイント優遇なども主婦目線だとかなりメリットがあると思います。 ――買い物好きなら、三越伊勢丹ホールディングス(3099)や高島屋(8233)なども候補かもしれません。三越伊勢丹の場合は100株以上を保有する株主に優待カードが送られてきて、買い物10%割引の特典がつきますね。 丸山:そういう情報を聞くと、ますます意欲がわいてきます。まずは自分が好きなものやサービスを扱っている会社、興味がある分野に目を向けてみるのも一案ですね。 1年前に出産して、娘が1歳になったんですが、「これから子供にいくらお金がかかるのかな」というのは考えるようになりました。さすがに若い頃みたいに全部使ってしまうというのはダメですね(笑)。 資産運用やマネー管理にも、より真剣に向き合わないといけないと痛感します。今回の取材がすごくいいチャンスだったので、これを機に少しずつ勉強していきたいなと思います。 ■パリ五輪はとにかくメダルにこだわってほしい ――最後に、2024年パリ五輪に挑む池田太監督率いる「なでしこジャパン」への期待を聞かせていただけますか。 丸山:自分が出た五輪を振り返ると、2008年北京が4位、2012年ロンドンが銀メダルと表彰台に立つことができて、すごくうれしかった記憶があります。その後、なでしこを取り巻く環境も厳しくなり、2016年リオデジャネイロは出場権を逃しました。2021年夏の東京五輪もベスト8とメダルには手が届きませんでしたけど、今回のチームにはぜひメダルを取ってもらいたいと強く願っています。 女子サッカーは勝たないと盛り上がらない。そういう厳しい立場にいます。私たちの頃に比べると待遇も改善され、いろんなサポートを受けられるようになった分、やらないといけないとも思います。 一緒に2011年女子W杯やロンドン五輪を戦った熊谷(紗希=ASローマ)もいますし、わかりやすい結果が必要なことはよく理解しているはず。OGの1人として、とにかく勝利、メダルにこだわってほしいと思います。 投資についてはこれから本腰を入れるという丸山さん。彼女自身もより入念にアンテナを張っていくといいます。丸山さんのような表に出るポジションの元トップアスリートが、率先してお金に対する発信をしてくれれば、女子サッカー、女性スポーツの地位向上や待遇改善にもつながるはず。そういう意味でも、今後のさらなる活躍を大いに期待したいところです。 元川 悦子(もとかわ・えつこ)/サッカージャーナリスト。1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。 ※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
元川 悦子