捨てられた服でリユースファッションショー 「SHIRO」が北海道の自社工場で開催
今年ブランド誕生15周年を迎えた「シロ(SHIRO)」が8月10日、初の「リユースファッションショー」を創業の地である北海道砂川市に位置するシロの自社工場「みんなの工場」で開催した。ショーは、循環商社エコミットとの協業で立ち上げた「SHIRO リユースプロジェクト」の一環で、不用品として回収された衣類のみで構成。リハーサルやメイクのタッチアップなど裏側も一般に公開し、またショーの終了後には盆踊りを開催するなど、地域の子どもから大人まで誰でも参加できる開かれたイベントとなった。
「みんなの工場」で祝う15周年
「みんなの工場」は昨年4月にオープンした施設で、工場のほか、ショップやカフェ、キッズスペースを併設。15周年を記念して7月26日から9月1日まで「未来へのおくりもの展」として連日さまざまな催しが開催されていて、地元住民や観光客など多くの人で賑わっている。
捨てられた服に新たな命を
リユースファッションショーは、施設内のフロアを利用して行われた。キッズスペースがモデルの待機場所となり、工場の様子がガラス越しに見えるメインフロア全体がランウェイに。総合演出は小松隆宏、スタイリストは山口翔太郎と、国内外で活躍するファッション界のプロが集結し、シロの製品を使ったヘアメイクは北海道を拠点に活動する伊藤智亜希を起用した。 ランウェイモデルは、東京と北海道を拠点とするプロモデルと、工場で働いているスタッフや友人、そしてシロの福永敬弘社長とエコミットの川野輝之社長を加えた総勢22人。身につけていたのは、エコミットが回収した古着。柄もサイズも不揃いだが、ハサミを入れたり縫い直したりせず、スカートをトップスに用いたり、シャツやパンツを何着か重ねたり、ブラウスをヘアアクセに変えたりと新鮮なスタイリングで、捨てられた服に新たな命が吹き込まれた。
SHIROとファッション、循環型の未来へ
リユースファッションショーの背景となった「SHIRO リユースプロジェクト」は、不要品の回収・選別・再流通を行うエコミットとの協業により、8月8日に始動したばかり。シロが廃棄物ゼロを目指す「SHIRO 15年目の宣言」にともない、使用済みガラス容器を店頭で回収し、リユースのための実証試験を行うというもの。さらに業界の垣根を超えて、不要になった衣類の回収にも着手。衣類は不要なものとして処分することの多い資源のひとつという現状を受け、ひとりでも多くの方にリユースというアクションを起こしてもらいたいという願いから実施に至ったという。 プロジェクトの立ち上げにともない、リユースファッションショーを発案したのは、シロを率いるブランドプロデューサーの今井浩恵会長。特に未来を担う子どもたちに見てもらえたらと話す。「シロは日頃からファッションに近いブランドだと考えていることもあり、リユースの意味を伝えるファッションショーの開催は自然な流れでした。実際にショーを見ればわかる通り、捨てられた服だなんて信じられないものばかり。みんなの工場は"感動体験"を持ち帰ってもらう場所なので、東京ではなくこの砂川で、小さな子どもたちを含めた地域の皆さんに見てもらうことに価値があると思っています」。 エコミットの川野社長は、「まだ第一歩ではなくスタートラインに立ったところ。異業種と取り組むことによって、大きな動きにつながっていけたら」と話し、リユースプロジェクトの発展に期待を寄せた。 印象的だったのは、ヘアメイクの調整やリハーサルが行われている側で親子連れが遊んでいたり、工場スタッフが働いていたりと、日常の光景と非日常が溶け合った空間。"開かれた工場"という施設のコンセプトと呼応し、またリユースを身近に感じることができる機会となった。ショーの終了後には屋外の広場に舞台を移し、来場客やモデル、スタッフも交えて「みんなの盆踊り」が開催され、子どもから大人まで夏ならではのひとときを楽しんだ。