安易な〈円売り・ドル買い〉はリスキー 迫る「トランプ相場の賞味期限」とその反動【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】
2. トランプ相場の賞味期限
■マーケットは政治、経済、地政学リスクなど様々な材料に反応して変動しますが、「Buy the rumor, sell the fact(噂で買い、真実で売る)」の格言が示す通り、相場を動かす特定の材料の賞味期限には常に注意が必要でしょう。それでは、ここもとのトランプ相場の賞味期限は、どれほど続くものと期待してよいのでしょうか。 〈2016年のドル高は41日で終了〉 ■2016年のトランプラリーの際にも、トランプ減税への驚きと期待から米10年国債利回りは1.8%台から2.6%台へ急上昇し、ドル円も102円台から一気に118円台まで円安ドル高が進みました。ちなみに、この大統領選挙の結果を材料とした米長期金利の上昇とドル高は、わずか41日間(11月4日~12月15日)でピークを付けて終了しています(図表2)。 〈2020年のGX相場も短命に〉 ■また、前回2020年の大統領選でバイデン氏が勝利した時は、前トランプ政権の時代に停滞していた気候変動への取り組みが大きく前進することへの期待感から、関連する株式への市場の関心が急速に高まることとなりました。この時、世界の再生可能エネルギー関連株の値動きを示す「S&Pグローバル・クリーン・エネルギー指数」は大統領選直後の約2ヵ月間で約73.2%の大幅上昇となりました。しかし、政権交代をきっかけとした再生エネルギー関連株の上昇は長続きせず、その後下落に転じた同指数は大きく値を下げ、今に至るまで大統領選挙の直後につけた高値を一度も更新できずに、ピーク時と比べて6割超も安い水準で低迷しています(図表3)。 ■民主党政権の誕生に伴うエネルギー政策の転換は、大規模な予算措置をともなう息の長い取り組みとなりましたが、マーケットの反応は残念ながら短期間で収束することとなりました。こうしてみると、今回の大統領選挙の結果を受けて始まったトランプ相場の賞味期限についても、日持ちのしない「生もの」と割り切っておいた方が良さそうです。
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