住友商事が洋上風力市場へ積極投資。船舶海洋事業の成長に期待
住友商事は洋上風力関連船舶への投資を拡大していく方針だ。既に大型風車の部材輸送に対応するRORO型重量物船の保有会社を、オランダの船舶保有運航会社と合弁で設立。建設・保守作業を支援するCSOV(コミッショニング・サービス・オペレーション・ベッセル)で世界2位の船隊を擁するノルウェーのIWSフリートにも出資した。これらを皮切りに今後も洋上風力の市場拡大を見据え、そのサプライチェーン(SC)の構築に必要な関連船舶の保有・参画を進める。重量物船、CSOV以外の船種に対する投資も検討する。
「船舶海洋事業の新たな成長に向け、洋上風力関連船舶への投資を拡大する。洋上風力は潜在性が極めて高い急成長市場と見ており、特に浮体式の技術開発は発展途上で、SCも構築されていない。このSCの確立に向けて業界で必要とされる船舶に投資していく」
4月1日付で組織名に「海洋」を冠し始動した船舶海洋SBU(ストラテジック・ビジネス・ユニット、旧船舶事業部)の豊田高徳SBU長はこう話す。
その第1弾が、オランダの船舶保有運航会社との折半出資による重量物船保有会社の設立だ。
同社は大型風車の部材輸送に特化し、世界に4隻しかないとされるRORO型重量物船のうち2隻を保有しており、「成長を見込んで投資を決めた」(豊田氏)。さらに2隻の発注残がある。
同船は洋上風車の大型化・重量化に対応した特殊な設計。ランプウエーを備え、重量化が進む風車中心部のナセル(タワー上に設置された機械室のことで、増速機や発電機、ローター軸などを入れる)をRORO方式で荷役し、独自のクレーンシステムでその上部にブレードを3段積みできる。
「洋上風力市場が伸びていく中でのトレンドの一つが、タービンの大型化だ。この輸送に対応できるRORO型重量物船は今後、需要が拡大すると判断した」(豊田氏)
発電容量6メガワットの洋上風車で75メートル程度だったブレードの長さは、今後主流になる発電容量14メガワットの風車では110メートル程度まで延伸。ナセルも600―700トン程度へと重量化が見込まれている。