どう生かせばよい?府県単位に「進化」した線状降水帯発生の半日前予測 気象予報士に聞いた
線状降水帯は、いつどこで発生するか予測が難しく、私たちの生命や財産を脅かす。豪雨災害の増加に対応し、線状降水帯発生予測の精度は少しずつ進化している。2022年に「半日前予測」が全国11ブロックでスタートしたが、2024年からは府県単位に「進化」した。自分の住む県に「半日前予測」が出たらどう備えればいいのか。 【画像】2倍の計算能力を持つ新コンピューター導入したことで何がわかる?新技術に圧倒 気象庁では2021年から線状降水帯の「発生情報」の提供を開始。2022年からは「半日前予測」の運用を開始した。当初は全国を11ブロックに分けた地域単位で、宮崎は九州南部という区分だった。それが2024年5月27日からはより細かく分けられ、「宮崎県」など府県単位での発表に進化した。 従来の2倍の計算能力を持つスーパーコンピューターを導入したことにより、高解像度の予測がこれまでの10時間先から18時間先まで可能となるほか、降水量予測をもとに災害の危険度も把握できるようになったという。 宮崎地方気象台 小堀賢司防災気象官は、「ここ5年、10年の間は線状降水帯が毎年のように発生している。気象庁としても予測技術を上げて、この危険度予測を早い段階で提供できるよう取り組んでいる」「『宮崎県』という形で呼びかけることによって、これまでより『自分ごと』として感じていただいて、より情報を効果的に活用してもらえると考えている」と話す。 府県単位の発表となっても、予測の的中率は「4回に1回程度」と、これまでと変わらない。気象庁では今後さらに予測の精度を高め、2029年には市町村単位での情報提供を目指していきたいとしている。
酒井気象予報士に聞く
線状降水帯の怖さは、どのような点にあるのか。酒井晋一郎気象予報士に聞いた。 酒井気象予報士は、「線状降水帯の特徴は、ほぼ同じ場所で数時間にわたって、激しい雨を降らせるということ。線状降水帯が山地にかかると、土砂災害の危険性が急激に高まり、河川上にかかると急激に水位が増加し、氾濫の危険性が高まるなど災害発生の危険度が急激に高まる」と説明する。 県内で線状降水帯が発生した直近の例は、2023年8月の台風6号だ。県の南部山沿いと北部に線状降水帯が発生した。この時の24時間雨量は、日之影町で387.5ミリ、椎葉村で375.0ミリ、小林市で352.0ミリと、8月の観測史上最大となった。1カ月分の雨量が1日で降ったことになる。