【試乗】ホンダ スーパーカブC125 ː 一億台の頂点に立つラグジュアリー実用車
実用車というよりは
スーパーカブがガチガチの実用車だった時代は、日本では次第に過去のものになりつつある。ためしに何人かの非バイク女子にスーパーカブ C125の写真をみせて感想を聞いたところ、軒並み「なにコレ、めちゃくちゃかわいい!!」という、おっさんの予想をはるかに越える好反応が返ってきた。 すべてがデラックスなC125の価格は、車体のみで45万1000円と、こちらもなかなかデラックス。仮に蕎麦屋の原価率を25%とし、出前の客単価を1500円とすると、400人に出前すればスーパーカブ C125をまかなえる勘定だ。でもスーパーカブ110なら30万2500円なので、268人に出前すれば済む。「めっちゃ欲しいけど、C125はちょっとなあ……」と、二の足を踏んじゃう蕎麦屋さんがいても不思議はない。 C125はスーパーカブの仲間とはいってもガチガチの実用車ではなく、レジャーバイクやコミューターとして、より愛されやすいバイクだといえるだろう。 スーパーカブ C125は、誰が乗ってもそこそこサマになり、好きなとき、好きな場所に、身ひとつで移動するモーターサイクルの本質的な魅力を味わえるマシンだ。 大学生にはちょっと値が張る気もするが、なにしろ保証付きの名車だから、背伸びしてでも乗る価値はある。団地住まいの奥様が乗りこなしていたらカッコいいに違いない。激速スーパースポーツに疲れたおっさんライダーには、トコトコ走るC125が癒しになるはずだ。しかし、なかでも筆者が真にC125をおすすめしたいのは、店をたたんでリタイヤした蕎麦屋さんだ。現役時代には手が届かなかった高級スーパーカブで、のんびりロングツーリングを楽しむなんて、なかなかステキな人生設計とはいえないだろうか?
高橋 克也