2021年F1のここに注目!角田デビューとホンダラストイヤーとなるレッドブル躍進の可能性
「2021年はホンダにとってF1最終年。2021年こそ、チャンピオンシップ争いをするべく、準備を進めなければならないし、われわれもその(チャンピオンシップ争いをする)方向で戦いたいと思っている」 2020年の最終戦アブダビGPでポール・トゥ・ウィンを飾ったレッドブル・ホンダ。2021年はコロナ禍を考慮してシャシーやギアボックス、サスペンションなど、車体の約60%のパーツが2020年と同様の仕様とすることが義務付けられている。最終戦で得たアドバンテージをいつも以上に翌年へ向けて活かすことができるだけに期待がかかる。 セルジオ・ペレスが移籍してくることも、2021年にタイトルを目指すレッドブル・ホンダにとっては大きな味方だろう。ペレスは2011年にF1デビューして以来、これまで10回表彰台に上がってきた実力派。2020年の第16戦サクヒールGPでは初優勝も経験し、ドライバーとしていままさに円熟味を増しているところだ。 これまでのレッドブル・ホンダはマックス・フェルスタッペンが1人で、メルセデスの2人と戦っていたため戦略的に厳しい戦いを強いられていた。ペレスの加入によって、フェルスタッペンが「守り」から「攻め」に転じることができれば、メルセデスとの戦いはこれまでよりも白熱するかもしれない。 ホンダが最後にチャンピオンとなったのは、1991年。30年ぶりのタイトル争いを、日本のF1ファンは期待している。 また2021年のF1はレッドブル・ホンダに移籍したペレス以外にも多くのドライバーが新しいチームでレースを戦う。フェラーリにはマクラーレンからカルロス・サインツが移籍し、そのマクラーレンにはルノーからダニエル・リカルドが移った。そして、リカルドが去ったルノーに新たに加入するのは、2018年限りでF1から遠ざかっていた 2005年と2006年のF1チャンピオン、フェルナンド・アロンソだ。レーシングポイントからチーム名を改名するアストンマーチンには、フェラーリから四冠王者のセバスチャン・ベッテルが移籍した。 移籍したドライバーたちが新天地で活躍すれば、勢力図が大きく変わる可能性が高いだけに、彼らの戦いにも注目したい。 角田とともに2021年にF1デビューするドライバーにもビッグネームがある。七冠王者のミハエル・シューマッハの長男であるミック・シューマッハだ。2020年にミハエル・シューマッハの七冠に並んだルイス・ハミルトン(メルセデス)にとって、2021年は記録更新の期待がかかる。そのシーズンにデビューするミック・シューマッハが、ハミルトンとかつて父親が走ったF1という舞台でどんな走りを披露するのかも楽しみなところだ。 ただし、そのF1界にとって、いま最も気になることは新型コロナウイルス感染症の状況だろう。10チーム中7チームが本拠地を構えるイギリスでは、ワクチン接種が開始されたと同時に、変異種が急速に感染拡大し始めている。2021年のF1がどのような形で開催されるのか。それこそが、F1関係者の間で、いま最も気になるところではないだろうか。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)