インドコーヒーが飲めるお店「ブルートーカイ コーヒー ロースターズ」。インドの大手チェーンが広尾に1号店を出した理由とは?
ブルートーカイ コーヒー ロースターズ 広尾店
大使館が立ち並ぶなど国際色豊かな広尾の街に、今年の7月にインドのコーヒーチェーン店「ブルートーカイコーヒーロースターズ」の日本第1号店がグランドオープンした。広尾商店街の中に構えた店舗では、日本ではまだあまりなじみのないインド産の豆を使ったコーヒーが提供される。その独特な酸味と香りは、これまでの日本にはなかった、新しいコーヒーの世界へと導いてくれる。 【画像】店は広尾商店街の通りにかまえる。テイクアウト専用のカウンターもあり。
インドのコーヒーブームの火付け役が広尾を選ぶわけ
インドと言えば紅茶のイメージが強いが、輸出量が世界第8位(2020年)とコーヒー大国でもある。しかし、ブルートーカイがオープンした10年前のインドでは紅茶が主流。インド産コーヒー豆のほとんどが欧州に輸出されていたため、コーヒーを専門に取り扱う店は少なく、現地の人が高品質なコーヒーを嗜む機会はあまり無かった。そんな状況に対して、創業者のマット・チタランジャンさんは、アメリカ育ちで無類のコーヒー好きであったこともあり、自国インド産の豆のみを取り扱う「ブルートーカイ コーヒー ロースターズ」を2013年にニューデリーでオープン。現在では全土で90店舗以上のカフェを構える、インドを代表するコーヒーカンパニーに成長している。 今回初の実店舗となる日本の店舗はこぢんまりとしており、一見すると大手チェーンとは想像しがたい。これは、銀座や六本木のような場所に大きな店舗を構え、多数の客を対応するスタイルではなく、まずは地元に溶け込み、、ひとりひとりときちんと対話しながら、近隣に暮らす人々、働く人々に愛されるカフェからスタートしたいという思いからだ。広報担当者は以下のように語ってくれた。 「3カ月ほどが経ち毎日のように通ってくれる商店街の人たちもいて、手ごたえを感じています」
今までのイメージとは違う、インドの味と香り
使われるコーヒー豆はもちろんすべてがインド産のスペシャルティコーヒー。農園ごとの高品質な生豆を日本へ輸入し、栃木県矢板市にある自社の焙煎場で焙煎する。焙煎度によっても異なるが、一般的なインド産コーヒーの味わいの特徴は、柔らかい酸味としっかりとしたボディ。ブルートーカイでは浅煎りから深煎りまで、インド各地から届いた豆の魅力的な個性を最大限生かすように焙煎を行う。また同じ農園でも精製法によっても味わいが異なるため、色々と試して自分の好みを見つけるのがよいだろう。 日本ではまだ知名度の低いインドコーヒーだが、インド独自の世界がそこにあるようだ。広尾の街に溶け込んだ、コーヒーという一杯の飲み物を通して、インドのコーヒーにまつわるストーリーや文化までも届けてほしい。
文:Pen編集部 写真:逸見祥希