「私だけが “ぼっち” で、つら過ぎる」1人でいる孤独は、幼いころに刷り込まれた「呪縛」のせいだった。解き放ち方はある?
さみしさを感じるのは、脳からの信号⁉
人間は本来、誰かと四六時中いっしょにいるわけではなく、誰でも一人になる時間があるはずです。それにも関わらず、「自分はひとり『ぼっち』になってしまった」と感じてしまいます。 このようなさみしさを感じる反応は、私たちの脳に「集団から排除されたくない」「共同体の中にいたい」というアラームを発動させます。私たちの脳がこのような危機感を覚えることは、人間の進化の過程ではとても大切だったのです。 このような感情は、その場の空気を読んだり、相手の気持ちを考えたりするコミュニケーション機能がきちんと働いている証なのです。ですが、さみしいからといって友人やパートナーなどにあまりしつこくしすぎると、その関係性を失いかねないので、気をつけてくださいね。 「私はひとり『ぼっち』なのではないか?」という感情が出てきても、「人とのつながりはそう簡単には消えない」ということと、「ひとりの時間もとても大切」ということを思い出してください。
そもそも「ひとり『ぼっち』」とは?
ご存じの通り、「ひとりぼっち」の略語が「ぼっち」です。集団や組織、共同体に属すことができなかったために、ひとりで居ざるを得ない状態になってしまったという、あたかも孤立させられているような暗いイメージがあります。「ぼっち」はやむをえずひとりでいる状態とも言えます。 世間には「ぼっちは、イタイ」「ぼっちは、みじめ」「何か問題がある人なのだろう」という先入観がはびこっています。実は、そのように感じる人々のなかに「自分はひとり『ぼっち』になりたくない!」という意図が無意識に隠されている場合が多いのです。 一昔前までは独身でいる人に対して、「あの人は、どこか社会的に不適合者なのではないだろうか?」などという偏見がありました。今では考えられない感覚ですよね。 自分自身はひとりでいることを苦に思っていなくても、社会的な先入観の眼では「ひとり『ぼっち』」と見られてしまうこともあります。これには社会的な複雑で根深いものが存在しているのです。 ある研究によると2040年代の日本では、独身者が約50%を占め、既婚者は約30%になるという予測もあります。 未婚率上昇の原因としては、結婚したいと思える相手が見つからないことに加え、経済的な問題、離婚率の上昇などが考えられます。また、自分から選択して独身者を貫く層も多く含まれるでしょう。 未来では、高齢者よりも独身者が多い国になるのです。ひとりでいることがおかしいことではなくなるわけです。 本記事では、以前とくらべてひとりでいることが肯定的にとらえられるようになった令和の時代でも、やはり「ぼっち」という言葉につきまとうネガティブなイメージはどこからくるのか、についてお伝えしました。 ▶つづきの【後編】では、「ひとりでいることがさみしいという感情の正体」についてお話を伺います。
心理カウンセラー・ライター 岡部愛