甲斐拓也(31)FA争奪戦なら惨敗続きの巨人が「有利」な三つの理由 “資金力”“監督力”よりも深刻な“ソフトバンクに決定的に足りないモノ”とは
原監督から阿部監督への交代は追い風
巨人はFA選手との契約で、現役引退後にコーチで雇うなどの付帯条件を設けてきたとされる。十分な金銭に加え、セカンドキャリアを保証する――。球界随一の資金力を誇るソフトバンクに対抗する武器は備えているようだ。 さらに、「監督力」でも巨人は優位に立っているという。昨季限りで全権を握っていた原監督は去った。 「絶大な権力を持つ監督はFA選手には敬遠されがちです。どんないい選手にも好不調の波はあり、監督に生殺与奪の権を握られると、不振時に容赦なく不利な起用をされるのではないかなどという不安も付きまといます。その点、今の巨人は現場とフロントの分業制に正常化されていて、FA選手が入りやすい環境になっています」(前出の編成担当) その上、阿部慎之助監督は球団史上初の捕手出身監督である。同じポジションの甲斐には心強いことだろう。納得感があり、かつ配慮もされた起用法の中で、後半に差しかかる現役生活を過ごせば、より長くプレーできる可能性は膨らむ。 「巨人のキャッチャー陣では(国内FA権を取得した)大城(卓三)に移籍の可能性があります。小林(誠司)は来季中に36歳となり、多くは望めません。最近の球界は捕手併用制が主流で、甲斐にしてみれば、今季主戦だった岸田(行倫)とともに長く第一線で活躍できることが見込めますから巨人のチーム事情は魅力的に映っているのではないでしょうか」(元NPB球団監督)
生え抜き軽視がソフトバンクのネックに
ソフトバンクも条件面やプレー環境面では遜色ないと思われる。しかし、この元監督は、近年のフロントの「生え抜き軽視」とも言える数々の契約が巨人との一騎打ちでは不利に働くのではないかという。 ソフトバンクはFA市場で山川穂高内野手、近藤健介外野手らの他球団の主力の獲得に巨費を投じてきた。外国人選手では、ロベルト・オスナ投手と今季から4年総額40億円という巨額契約を結んだ。リバン・モイネロ投手とも来季から、オスナと同程度の契約を交わしたことが明らかに。極め付きは、カーター・スチュワート投手との来季からの2年総額14億円での契約延長だ。 「実績があるオスナとモイネロはともかく、スチュワートは今季こそ9勝しましたが、契約延長時は来日5年間でたった3勝の投手でした。外様のFA選手だけではなく、外国人にもこれだけ大盤振る舞いをしていれば、生え抜き選手が不信感を抱くのは当然だと思います」 ソフトバンクの今季年俸は、オスナが10億円でトップ、チーム一筋の柳田悠岐外野手の5億7000万円が2位だが、近藤の5億5000万円、有原航平投手の5億と移籍選手が上位を占める。