「僕自身、実はほとんど筋トレしないんです」…RIZAPグループ瀬戸健社長が、“ガチ勢以外”のジム「chocoZAP」を作った「驚きの理由」
chocoZAPの快進撃が止まらない。2022年7月のサービス開始からわずか1年11ヵ月で店舗数を1500店まで拡大し、5月には全国47都道府県進出を達成。さらにフィットネスジムの国内会員数ナンバー1となる120万人を突破(5月15日時点)した。 【写真】世界が驚愕…シブコの鍛え上げられた 「圧巻ボディ」奇跡のショット! カラオケ、セルフエステ、洗濯機・乾燥機に、MRI・CT検査に至るまで全サービス追加料金なしを謳い、従来のジムの常識を覆す新サービスを発表し続けている。型破りのアイデアはどこから生まれたのだろうか? RIZAPグループの瀬戸健代表取締役社長に話を聞いた。
「ガチ勢以外」のジムを作りたい
――セルフネイルにカラオケ、MRI……一見ジムのサービスとは思えないラインナップですが、chocoZAPが生まれた経緯について教えてください。 「あらゆるサービスを提供することで、初心者の方も親しみやすいジムを作りたかったのが一番の理由です。これまでのジムは上級者の方がハードなトレーニングをしている場所で、初心者の方からすると気後れしたり、肩身が狭い思いをしたりということが多かった。 誰もが初心者の時期があるわけですが、日本の場合は、上級者の方たちが強いこだわりを持つ中で、どんどん上手い人の声が大きくなっていってしまって、初心者の方が物事を新たに始めにくい環境があると思うんです。 上級者のこだわりに合わせることで、その方たち向けにサービスが構築されていく。でも、そのこだわりって初心者にはオーバースペックなことが多いじゃないですか。 でも、我々のお客様で一番多いのは誰かと考えたとき、初心者なんですよね。たとえばchocoZAPでエステが終わって出てきたら、みんながちょっとぎこちなく筋トレしている。それならやってみようかな、となるかもしれない。周りが同じようなレベルというのは意外と重要なんです」
キャッチコピーは「やらんよりまし」
「というのも、僕自身がほとんど筋トレしないんですよ(笑)。うちのサービスにRIZAP ENGLISHというものがありますけど、全く英語なんて喋れませんし、あとゴルフのサービスもありますが、スコアはだいたい120ぐらい。本当にできないことだらけ。だから初心者の気持ちがすごくよく分かるんです。そこには結構自信があります。 中には『そんなレベルじゃ、やる意味ないよ』っていう方もいます。でも僕は散歩するだけでもすごく意味があると思っている。だって、何十キロもある自分の身体を、両足で支えて移動するのって相当な筋力が必要です。これってすごいことだと思いませんか? 最近のchocoZAPの考え方は『やらんよりはまし』というものですから(笑) 僕がもしマラソン人口を増やす会長になったとしたら、いきなりマラソンからは誘いませんね。初めは『お散歩同好会』かな(笑)。お酒を飲んだり、みんなで喋ったり。そこから『ビール飲んだら少し早歩きしましょうか』と、誘導していく。生活の延長線上で、いつもと変わらないところからスタートして、でも気づいたら変わっていたというのが一番いい。 こういう考え方になったのは、昔、着色料や添加物等を使わないことにこだわり抜いた、健康に良いクッキーを販売していたことがあるんです。手間がかかっていて、まあ大変でした。 ところが、うちのは全く売れないのに、目の前で添加物たっぷりのケーキが飛ぶように売れていく(笑) どんなに高い志や目指している社会があったとしても、ユーザーのことを考えないと結局目的は達成できないと学びました」