〝半農半サッカー〟五輪元代表・石川直宏さん 人生に迷ったら畑においで パリで戦う選手ねぎらう
パリ五輪のサッカー日本代表チームは、男女ともにベスト8と健闘した。2004年アテネ五輪で代表選手となり、現在は長野県飯綱町で農園「NAO’s FARM」を営む“半農半サッカー”の石川直宏さん(43)は選手をねぎらい、「人生に迷ったら畑においで」と両手を広げる。 高原の畑で石川さんがスイートコーンをもいでかじり、「畑で食うのが一番うまい」と笑った。現役時代の愛称はナオ。トウモロコシも「なおもろこし」と名付ける。 FC東京で活躍したキャリアは挫折の連続でもあった。23歳で五輪代表となったが、予選2試合は“控え”。敗退決定後のガーナ戦で出場したが、途中交代に。チームは勝ったが、悔しくて泣いた。 試合後、小野伸二選手に「お前が一番良かった」と言われ、いつも誰かが見ていてくれていることに気付き、同僚やサポーターに感謝した。17年の引退後、同FCのコミュニケーターとして働く中、収穫体験を通じて農業の魅力を知った。21年に知人の耕作放棄地を復活させ、70アールを耕す。トウモロコシを選んだのは、種まきから3カ月で自分の背丈を超える姿に感動したから。 プロの選手生命は短い。「努力が報われるとは限らないのは農業も同じ」と語る石川さんは毎年、競技を問わず選手を畑に招く。「農業も人生の選択肢」だと伝えるためだ。
日本農業新聞