【密着】人間ドックで心筋梗塞・脳梗塞リスクを調べた結果~進化する医療~
【密着】人間ドックで心筋梗塞・脳梗塞リスクを調べた結果~進化する医療~
隠れ脳梗塞は日本人40代の約4人に1人いるといわれ、そのうちの約3割の人が数年以内に脳梗塞を起こすというデータがあるそうです。体で感じられる症状は何も現れないので、検診での早期発見が重要です。今回は実際の人間ドックに、Medical DOCを運営する株式会社GENOVA代表取締役社長の平瀬社長の同意のもと、密着取材させていただきました。検査結果と照らし合わせながら、心筋梗塞や脳梗塞、動脈硬化のリスクについても循環器内科専門医の高橋先生に解説いただきます。 【イラスト解説】「心筋梗塞」を予防する可能性が高い“食べ物”
chapter01 検査前インタビュー
高橋先生: 体について不安なことや心配なことはありますか? 平瀬: コレステロール値が高いと言われたことがあります。コレステロール値が高いと、心筋梗塞や脳梗塞に関係してくると聞いたことがあるので心配ですね。 高橋先生: LDLコレステロール値が高いと動脈硬化をおこして、脳梗塞や心筋梗塞を発症しやすくなります。首の頚動脈の超音波検査をすることによって、動脈硬化がどのくらい進んでいるか調べることができます。 平瀬: なるほど。それでは先生、早速よろしくお願いします。
chapter02 検査結果について
高橋先生: 今回の検査で「要治療」の項目はありませんでした。 脳の側脳室の周辺に白い点々が出てくると隠れ脳梗塞と診断され、その白い点々が大きくなってくると、認知症のリスクが高くなります。今回の検査結果では、平瀬社長の脳に点々はありませんでした。平瀬社長は普段よく運動されているとのことですので、毛細血管の働きが非常に良いのだと思います。毛細血管の働きが悪くなると、脳に白い点々が広がり、細くまばらで血液が流れなくなり、ゴースト血管化されてしまいます。 平瀬: なるほど。ゴースト血管というのは、年齢とともに出てくるのですか? 高橋先生: 高齢の方でも普段から運動されている人は出てこないと言われています。 平瀬: 本当に運動は大事なんですね。 高橋先生: はい。次に脳の血管の検査結果です。右の内頚動脈と左の内頚動脈について、脳動脈瘤があると、血管に膨らみが出てきますが、平瀬社長の内頚動脈に異常な膨らみはありませんでした。脳ドックで脳動脈瘤が見つかる確率はどのくらいだと思いますか? 平瀬: 1%くらいでしょうか。 高橋先生: 実は脳ドックで4~6%の脳動脈瘤が発見されると言われています。 平瀬: 結構発見されるんですね。 高橋先生: はい。40歳を超えたら一度脳ドックの検査をおすすめしています。 平瀬: 異常が見つかった場合は、治療や再検査をすることになるのでしょうか? 高橋先生: 脳動脈瘤が見つかった場合は経過観察、治療が必要な場合は専門医院に受診いただきます。血圧が高い方の場合は、高血圧の治療も進めていかなければなりません。 血管は全部合わせるとどれぐらいの距離になるかわかりますか?地球約2周半、距離は約10万kmになるそうです。 平瀬: すごいですね……! 高橋先生: 動脈硬化がどこかにあれば、もちろんほかの場所にもできている可能性もありますし、動脈硬化の進行を抑えるためには、血圧やコレステロール、血糖のコントロールが必要になります。次に、血液検査の結果ですが、今回もLDLコレステロール値が少し高い結果でしたね。要治療まではいかないですが、食生活の改善が大事になってきます。魚は週何回くらい食べていますか? 平瀬: 週2回くらいは食べるようにしています。コレステロール値を気にするようになってから魚を食べる頻度は増えましたね。 高橋先生: 理想的な頻度としては、週3~4回程度摂るのが良いと言われています。EPAとアラキドン酸の比率でEPA/AA比が0.4以上で動脈硬化を抑制し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを低減できます。EPAのサプリメントは飲んでいますか? 平瀬: 検査で毎回引っかかってしまうので、サプリメントは毎日飲んでいます。 高橋先生: 検査結果をみると、EPAとアラキドン酸の比率が良くなっていますね。 また、1日に必要な野菜は350gと言われています。350gは生野菜だと両手3杯分になります。 平瀬: そんなにたくさん食べなければいけないのですね。 高橋先生: 日本人は平均大体70gほど摂取量が少ないと言われています。 ほうれん草のおひたし小鉢一皿分を追加していただくだけでもいいと思います。どうしても野菜を摂るのが難しいという方の場合には、スムージーなどもおすすめです。食物繊維が豊富なきのこ類は0カロリーですし、体内のコレステロールを吸着して、体外に排出してくれる役割があります。コレステロールの管理は、野菜をしっかり摂ることが大事になってきますね。 平瀬: きのこ類も良いのですね。意識して食べるようにしてみます。 高橋先生: 次は心臓血管の石灰化スコアの検査結果をみていきましょう。 通常、年齢とともに数値が上がってくるのですが、心臓血管の石灰化結果は0でした。日本人は65歳を超えてくると、狭心症の可能性が上がってくると言われています。心臓の大動脈弁が硬くなってくることは年齢的にもよくあることなのですが、それは実は動脈硬化なんです。血管は全部つながっているので、弁も動脈硬化になる場合があります。 平瀬: なるほど。人間ドックを受けない方のほうが不健康なイメージがありますが、いかがでしょうか。 高橋先生: そのとおりです。健康意識がある方や家族がいる方、長生きをしたいと人間ドックを受ける方がいますが、仕事やほかのことを優先してしまい、人間ドックを受ける時間がないという方も多いですね。人間ドックを受けていない方の中には、生活習慣が乱れてしまっている方も多く、生活習慣が乱れていると、がんや認知症、動脈硬化のリスクが上がってしまいます。人間ドック学会でも、検診を受けたままで終わっていないか、再受診をされているか統計を取る動きもあります。再受診率は重要視されていますので、異常があった方は必ず放置せずに再受診いただき、健康意識を高めていくことが大切です。