日本サッカーのボーダレス化が生み出す課題
現時点の国際サッカー連盟(FIFA)の規約では、複数の国籍を保持する選手は1度でも国際Aマッチの公式戦に出場した場合、別の国籍の代表に転籍することはできない。さらに補足すれば、年代別代表の公式戦に出場する前から複数の国籍を持つ選手に関しては、たとえ年代別代表の公式戦の出場歴があっても、国際Aマッチの公式戦への出場歴がなければ1度だけ別国籍へ転籍することが可能となっている。 酒井が国際Aマッチデビューを果たす前には、ドイツ国内のメディアが「酒井高徳を帰化させるべき」とキャンペーンと張ったことがあるし、イラン人と父親と日本人の母親の間に生まれたMF長谷川アーリアジャスール(セレッソ大阪)が「イラン代表候補」と報じられたこともあった。複数の国籍を持つことが珍しくない海外においては、国同士による選手の綱引きも常態化している。 実際、日本国内のユースやジュニアユース年代では二重国籍を持つ選手が多数プレーしている。U‐16オーストラリア代表のキャプテンを務めるMF加藤カレッティ丈など、ゴダード以外にも海外在住者で日本国籍を持つ選手も多い。ますますボーダレス化していく時代において、二重国籍に選手関する情報を常に収集し、当該選手とのコミュニケーションを密にしていく作業も日本サッカー協会には求められることになる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)