次期首相に待ち受ける課題、日米同盟と日中関係への対応が最優先に
日本も要望があるかもしれない。総裁選の有力候補である石破茂元幹事長は、米軍の法的な特権を認めた「日米地位協定」の見直しを表明した。具体的な内容は示していないが、より公平なものにしたいと考えている。
一部の候補者は、日本が米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、英国の5カ国で構成する機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」に参加することを望んでいる。
退陣する岸田文雄首相が外交で残した功績の一つは、韓国との関係を改善し、ミサイル防衛などの分野で日米韓の安全保障協力を強化したことだ。次期首相が韓国との関係改善にそれほど注力しないなら、こうした協力関係が危険にさらされる恐れがある。
新首相が靖国神社を参拝すれば摩擦が生じる可能性がある。有力候補の1人で保守派の高市早苗経済安全保障担当相は靖国神社を定期的に参拝しているが、首相に就任しても靖国参拝を続ける意向を示している。
靖国参拝は米国との関係に緊張をもたらす可能性もある。2013年12月に当時の安倍晋三首相が靖国を参拝した際、ケネディ駐日米国大使が「失望」を表明し、珍しく公の場で不快感を示した。その後、安倍氏は20年に首相を退くまで参拝を見合わせた。
一部の政治アナリストは、日米両国が戦略上の主要な脅威と捉えている中国を巡り、日本の首相がよりタカ派的である方が米国との連携に適しているかもしれないと指摘している。ビジネスにおける日中の深いつながりを踏まえると、半導体関連機器の輸出規制などに関して、日本が米国と完全に足並みをそろえることに慎重になる場合もある。
日本国際問題研究所の舟津奈緒子研究員は、「トランプ氏は、中国に対して強硬姿勢を取るという点で、高市氏と政策が一致すると考える可能性がある」と述べた。
自民党総裁選で第3の有力候補は、米コロンビア大学で学び、ワシントンのシンクタンクで研究員として働いた経験を持つ小泉進次郎元環境相だ。立候補者の中で最年少の43歳である小泉氏は、他の立候補者に比べて経験の不足がハンディキャップになる可能性がある。