「入院したのは母でなく私と父でした」薬物依存症の母と絶縁した医師・おおたわ史絵「今でも他の方法が浮かばない」
── お母さんが亡くなった今、思うことはありますか? おおたわさん:他人から見たら、もっと上手くやればいいのにと思うかもしれません。でものそのときは、いい関係を築けるとは到底思えませんでした。あのときの選択が正しかったかはわかりませんが、今でも他の方法は思い浮かびません。 母が亡くなって数年経ってから母とのことを書いて本にしましたが、文字にすることで過去のことを整理できた気がします。当時は感情がぐちゃぐちゃで整理するもの苦しかったのですが、今となれば本人もなりたくて薬物依存症になったわけではないことがわかります。自分でもどうしようもなかったのだと思います。
PROFILE おおたわ史絵さん おおたわ・ふみえ。1964年、東京都生まれ。開業医の父と元看護師の母の元に生まれる。東京女子医科大学医学部卒業後、大学病院、救急救命センター、地域開業医として勤務。現在は刑務所で矯正医療に取り組む。著書に『母を捨てるということ』『プリズン・ドクター』などがある。 取材・文/酒井明子 画像提供/おおたわ史絵
酒井明子