練習ラウンドでバンカーショットを繰り返し、確認した松山英樹

　男子ゴルフで今季、数々の金字塔を打ち立てた松山英樹（32＝LEXUS）が、満を持して凱旋（がいせん）試合に臨む。日本で開催される唯一の米国男子ツアー（PGA）ZOZOチャンピオンシップ開幕を2日後に控えた22日、会場の千葉・習志野CCで調整。19年に始まった今大会は、契約満了で今年が最後の開催となる。今年はパリ五輪で日本男子初の表彰台となる銅メダルを獲得、アジア人初のPGA通算10勝に到達。来年以降の日本でのPGA開催は未定で一区切りとなるだけに、21年大会に続く2度目の優勝に意欲を見せた。 【写真】力強くティーショットを放つ松山英樹 　　　　　　◇　　　　　◇　　　　　◇　　 　まだ開幕してもいないのに、松山の周りは常にギャラリーであふれていた。インコースの9ホールを回った練習ラウンド。18番パー5でパットを沈めると、一緒に回った、もう1人の日本人PGAメンバー久常から「ナイスバーディー」の声がかかった。これに応じた松山は「ヨッシャー！」と、冗談交じりに声を出してガッツポーズ。2人で笑い合うと、ギャラリーも一緒になって笑った。松山が豪快なショットを放てば感嘆の声。凱旋試合の盛り上がりの予感が漂っていた。 　周囲の熱気に比例し、松山も気力は充実していた。 　松山　ここでプレーするのは、すごく良い思い出ですし、日本でプレーするのはすごく楽しみ。メダルを取ってから日本で初めてのプレー。今週も同じように良いプレーをしないといけないプレッシャーはある。 　期待の大きさは、ひしひしと感じている。しかも今年で今大会は最後。初開催の19年大会ではタイガー・ウッズ（米国）と優勝を争い、21年大会は優勝と、日本のファンを熱狂させた。“大会の顔”は求められているものは分かっている。 　松山　もちろん優勝を目指してやっていますけど、そうじゃない目標もある。自分のやりたいことを、しっかり検討しながら結果につなげていけたらと思う。 　ケガに苦しんだ昨年は51位だったが、今年の飛躍につながる、ケガへの対処法に気付いたのも今大会だった。転んでもただでは起きない－。思い出深い大会だからこそ、ラストイヤーへの思いは人一倍強かった。 　松山　今年で契約は終わりだと思うけど、たくさんのギャラリーの皆さんに来ていただき、すごく良い思い出でした。PGAがどうスケジュールを組むか分からないけど、また日本でプレーできる機会があれば。 　松山がPGAの強敵と、日本で真剣勝負するのは今年で最後になるかもしれない－。今年はすでに2勝を挙げ、勝てばシーズン3勝は、16－17年と並ぶ自己最多。五輪銅メダルにも匹敵する、伝説が生まれる下地はできている。【高田文太】 　◆松山の19、21年のZOZOチャンピオンシップ　初開催の19年大会は、13年ぶりに日本で戦い完全優勝したウッズと、最終日は一時は2打差に詰め寄ったが、最後は3打差の2位だった。ウッズはこの優勝で、PGA歴代最多のサム・スニード（米国）に並ぶ通算82勝目を挙げた。 　21年大会は松山が、2位のトリンゲール（米国）に5打差をつけてPGA通算7勝目。第2ラウンドで首位に立つと、最終ラウンドは2位に1打差から出たが2イーグル、3バーディー、2ボギーの65と5つ伸ばして引き離した。最終18番パー5をイーグルで締めて両手でガッツポーズ。日本開催の大会で優勝したのは16年の国内ツアー、三井住友VISA太平洋マスターズ以来、5年ぶりだった。 　20年は28位、22年40位、23年51位。大会はコロナ禍で米カリフォルニア州開催だった20年を除いて、いずれも習志野CCで開催している。