苦悩・失敗・挫折を乗り越え、立ち上げ4年で74億円の売上を出した社長 「だれかの言葉で人は変われる」VALX誕生までの10のターニングポイント
VALXというプロテインをご存知だろうか。プロテイン業界というレッドオーシャンかつ後発というなかで、立ち上げから4年で74億円の売上高を達成したことでも注目された。 【写真】溶けやすく、おいしいと人気のプロテインVALX。 代表の只石昌幸社長はこれまでもさまざまなメディアに登場しており、人生の紆余曲折はたくさんの人に知られている。今回はその半生をターニングポイントという切り口でフォーカスし、ピンチやチャンスをどう捉え、どう挑んだかを聞いた。 なぜなら、その捉え方にこそ只石昌幸社長らしさがあり、学ぶべきことがあるからだ。只石社長の半生を追いながら成功を掴み取る源泉を探ってみたい。
1.親が決めたルールのなかで、唯一の逃げ場は読書だった。
まず、只石さんのルーツを押さえておきたい。父方、母方ともに祖父は群馬県では有名な起業家だったという。家には友人たちが持っていないおもちゃがたくさんあり、幼心に恵まれた環境を感じ取っていた。 ところが、只石さんが小学生の頃、祖父の会社はどちらも倒産してしまう。 「うちにも借金取りが家に来るようになりました。それまでの暮らしから一変してしまったんです」 家族・親族間の喧嘩が増え、借金は肉親の絆まで蝕んでいった。 この出来事をきっかけに只石家には家訓ができる。“起業などするものじゃない”と。 「僕も常々言われていました。勉強をしていい会社に入らなくてはおじいちゃんみたいになってしまうよ」と。両親は良かれと思っての助言だったが、只石少年にとってその言葉は脅迫のように感じられたのだった。 門限は6時。時間がくると内側から鍵が閉まる。テレビは7時まで。閉ざされた家で只石少年にとっての唯一の娯楽は本だった。自分の部屋で宿題もせずにむさぼるように本を読んだ。 「図書館では一人3冊まで借りられるので、家族4人分の名前を借りて毎週12冊を繰り返し借りました。お気に入りだったのはズッコケ三人組シリーズでした」 幼かった少年が只石家の掟のなかで生きていくには、本を逃げ場にするしかなかった。自室にいると親は勉強していると思い咎められなかったので、本のある自分の部屋が唯一の居場所だったのだ。