子どもを「指示待ち人間」にさせている、親の“何気ない行動”。自分で考えられる子に育てるには?
親の指示が、自分で考えるチャンスを奪う
子どもは自分で考える力を持っています。でも、それは親の「いつ・どこで・何を、してほしい」と同じになるとは限りません。思い通りにコントロールしようと思えば、常に指示を出すことになってしまいます。自分で考えて叱られるよりも、指示に従ってほめられるほうがずっと楽です。そして、親としても「ちゃんと言ったことを聞いてくれるいい子」という満足感を感じるかもしれません。 でも、その結果自分で考えて動く習慣が失われていきます。 うちの子どもが通っているスクールの先生が保護者会で話してくれた、とても胸に響いた言葉があります。 「子どもが忘れ物をしても、届けに来ないでください」 その真意は「忘れ物をすることは、子どもにとって大切な『学び』のひとつ」ということ。親は子どもが失敗しないようにと、ついつい先回りして手を出してしまいます。でも、失敗をしないということは大事な学びの機会を失っていることでもあるのです。親に「学校の準備はしたの?」「明日は筆がいるってプリントに書いてあったけど持ったの?」など言われていては、指示待ち状態からは抜け出せません。 家事だって同じです。自分の物を管理できなくて、大切な物をなくす。忘れ物をして叱られる。部屋が汚くて居心地が悪い。自己管理できないことで経験する失敗は、本人にとって大きな学びになります。 失敗する前に手を差し伸べるばかりではなく、失敗したうえでどうすべきかを一緒に考えてあげることも大事なのです。
〈著者プロフィール〉三木智有
NPO法人tadaima!代表/家事シェア研究家 「10年後、20年後も''ただいま! ''と帰りたくなる家庭」で溢れた社会の実現を目指し、NPO法人tadaima!を起業。家事シェアを広めるための講演を年間80本以上、元インテリアコーディネーターの経験を活かした、子育て家庭のモヨウ替えを年間100件以上行う。日本唯一の家事シェア研究家として、2016年内閣府「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」委員に選任。NHK「あさイチ」、関テレ「報道ランナー」、韓国KBSなどメディア出演多数。著書に『家事でモメない部屋づくり』(ディスカヴァー)がある。 note:note.com/tomoari_miki X:@tadaima_Tomo
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