旅客機炎上の務安空港、漂う焼け焦げた臭いと家族の泣き叫ぶ声…「どれだけ恐ろしい思いしたか」
【務安(ムアン)(韓国南西部)=小池和樹】韓国の務安国際空港で29日に発生した航空機事故は、181人の搭乗者の大半が死亡する惨事となった。現場の周辺には数百メートルにわたって機体の破片が飛び散り、空港に詰めかけた家族らは悲嘆に暮れた。 【動画】韓国で旅客機が着陸失敗、機体は大破し炎上…死者多数
事故発生から約7時間がたった午後4時頃になっても、空港には焼け焦げた臭いが漂っていた。旅客機が衝突した壁から200メートルほど離れた現場には、機体の一部が残り、消防や警察の捜索が続いていた。
臨時の遺体安置室が設けられた空港では、搭乗者の家族が泣きながら名前を叫ぶ声が響いた。家族らが待機するテントには、韓国政府関係者に説明を求め、大声で詰め寄る人の姿もあった。
次女夫婦が旅客機に搭乗していたというテ・ナムソクさん(63)は「逃げたくても逃げられない状況で、どれだけ恐ろしい思いをしたのだろうか」と涙ながらに語った。次女夫婦は、職場の同僚らと行ったタイ旅行からの帰路だったという。
10日ほど前に次女とキムチ作りをしたばかりといい、「次女も婿も失ってしまったのか。状況を正確に知りたいのに分からないことばかりだ」と肩を落とした。
空港近くの南部・光州(クァンジュ)市に住む男性(61)は事故発生のニュースを見て、空港に駆けつけた。旅客機には、タイ旅行から戻る妹夫婦が搭乗していたという。
男性は「一体何が起きたのか。せめて早く身元の確認をしてほしい」と話した。男性の近くでは、妹夫婦の子ども2人が互いの背中をさすり合いながら、下を向いて座っていた。
石破首相「深い悲しみ」
石破首相は29日、韓国の務安国際空港での旅客機事故を受け、「痛ましい事故により多くの尊い命が失われたことに深い悲しみを覚える。犠牲になられた方々、ご遺族に心からの哀悼の意を表すとともに、負傷された方々の一日も早い回復をお祈りする」とのコメントを出した。