倉庫街がアートの中心地に変貌! 富士山の見える「丘」が観光資源に!?……地域ブランディングの切り札は“名付け”
日本の小さな宝はあちこちに眠っている
これからの「日本というブランドビジネス」を考える上で、どんなグランドデザインを描けるだろうか? そもそも日本は「規模」で世界と勝負しても勝ち目がない。なのに昭和から平成は欧米的なスタイルでの効率性とスケールを追求し、そこにリソースを集中してきた。その結果が今の日本である。でも悲観はしなくていい。日本の持つ豊かな風土や文化に目を向けると、小さくとも切れ味のいいアイデアや、世界中から愛されるコンテンツが有り余るほど存在することに気づけるからだ。 例えば、石川県で開発され、その後も県の一部でしか栽培されていない「ルビーロマン」という品種のぶどう。とても高額な取引をされているが、栽培が難しくて希少なので世界中から引く手あまただし、このぶどうを求めて世界各地から人がやってきている。ただこれを栽培している人たちは生産を拡大しようとは思っておらず、あくまで美味しさを追求し、石川県のその土地だけでつくることを考えているという。 ひと昔前ならブランドにして種を売るとか、世界各地でビジネスを展開するような「スケール」を考えただろうが、むしろ「少なさ」「狭さ」「希少性」を追求することで、世界が求める超優良ブランドとなって、ロングテールビジネスを成立させるわけだ。これは日本が目指すべきグランドデザインの一つだと思う。 特に日本の地方には、このように世界が羨むような資産が多く眠っているし、そこにその地方の「歴史」や「伝統」、さらに「神話」や「祭り」を紐づけたストーリーを生み出せば、世界の人が求めるブランドになりえる。ルイ・ヴィトンをはじめとする世界中のメゾンブランドが日本の地方企業や技術とコラボを模索しているのもその証拠だ。 でも私たちにはいつからか、欧米に対して劣っていると心のどこかで思ってしまう「卑下するクセ」が染みついていて、日本にある本質的な価値を見逃していたと思う。それはきっと、これまでの日本が目指してきた「BIG&FAST」な効率論がベースになっているからだろう。でも時代は変わった。今こそ日本らしく「SMALL& SLOW」な視点ですべてを見直したほうがいいと僕は思っている。