コーヒーを飲みすぎはNG? カフェインの過剰摂取の隠れた危険性
結局、どれくらい摂取するべき?
成人一日あたりのカフェイン摂取量に対する米食品医薬品局(FDA)の態度はあいまいだそう。同局の2023年の報告書では、一日あたり400mgが「一般的に危険な悪影響のない量」と記されている。 でも「一般的に悪影響のない」ってどういう意味? あまり説得力のある表現ではない。このカフェイン量は、約240mlのコーヒーなら約四杯分に相当する。プライムエナジードリンク1缶には、200mgものカフェインが含まれている。 さらに、米食品医薬品局は「カフェインの影響に対する感受性とカフェインの代謝(分解)速度は人によって大きなばらつきがある」と注意を促している。つまり、自分にとって多くなくても、ほかの人にはカフェインが多すぎる可能性がある。 さらに、考慮すべき要素はほかにもある。ヤウィッツさんによると、妊娠中および授乳中の女性は「赤ちゃんがカフェインの代謝に必要な酵素を持っていないことから、カフェインの摂取量を一日あたり200mgに制限する必要があるかもしれない」という。またマストさんは、刺激成分が「不安や興奮(および)高血圧、動悸を引き起こす」恐れがあるので、不安障害や心臓病のある人はカフェインの摂取を制限する必要があると述べている。胃食道逆流症の人も、「逆流症状を悪化させる」可能性があるのでカフェインは避けたほうがよさそう。 そして、子供はまったく別のカテゴリーになる。米児童青年精神医学会議(AACAP)は、12歳未満の児童のカフェイン摂取に強く反対しているが、中高生では少し状況が変わる。ヤウィッツさんいわく「健康的な中高生のほとんどの場合は、毎日最大100mgのカフェインなら安全に摂取できる」みたい。これは基本的に、約700mlのソーダや約240mlのコーヒー1杯、またはプライムエナジードリンク2分の1缶に相当する。
カフェインを摂るべき、それとも摂らないべき?
人によって個人差があるため、どれくらいのカフェイン摂取量が過剰になるのかに関する絶対的な答えは存在しない。とはいえ特定の条件を除いて、ほとんどの成人は米食品医薬品局による一日あたり400mgが安全なガイドラインと言えそう。 さらに、どのくらいのカフェインを摂取するかだけでなく、いつ摂取するかにも注意したいところ。朝のコーヒー習慣は、飲む量に気を付けていれば問題はない。一般的に約240mlのコーヒーには約100mgのカフェインが含まれており、自分のお気に入りのマグカップには360mlのコーヒーが入る可能性があることを頭に入れておこう。午後3時にマウンテンデューを一缶飲めば、そこには約70mgのカフェインが含まれていて、8~10時間は効果が持続する。平日の夜中2時に眠れないなんてことのないよう注意して。
translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images