乃木坂46 中村麗乃、『Endless SHOCK』で夢を叶えた飛躍の年に 神田沙也加への憧れを“現実”に変えた覚悟
「外の世界でも通用する人間になりたいです」(『日経エンタテインメント! 乃木坂46 Special 2023』/日経BPより) 【写真】中村麗乃&山下美月、ディズニーシーを満喫 そう語っていたのは、乃木坂46の中村麗乃だ。それから1年後、彼女は正真正銘“外の世界”へと羽ばたいた。 乃木坂46は生田絵梨花や井上小百合、桜井玲香、若月佑美といったメンバーがグループ時代から舞台演劇のジャンルを切り開き、卒業後もその分野で活躍を続けるメンバーを多く輩出してきた。中村もその例に漏れず、グループ加入初期から乃木坂46と舞台演劇方面への接点を常に持ち続けてきたメンバーである。彼女が『日経エンタテインメント! 乃木坂46 Special 2023』で語った言葉も、そうした活動の先を思い描いての発言だろう。 中村は2016年に3期生として加入。31stシングル『ここにはないもの』(2022年12月)収録のアンダー楽曲「悪い成分」で初のセンターに抜擢。80's~90'sのダンスミュージックを思わせるトラックの中で、彼女は歌唱力の高さと巧みな表情を示してみせた。2021年には『乃木坂46 アンダーライブ 2021』において自身が尊敬する齋藤飛鳥のソロ曲「硬い殻のように抱きしめたい」のソロ歌唱を通して、中村の歌が幅広く知られるようになる。加入から7年目の2023年には33rdシングル『おひとりさま天国』(2023年8月)で初の選抜入りを果たした。 そうした活躍の背景にあるのは、2019年から出演を重ねてきた舞台演劇での活躍である。乃木坂46加入直後に上演された3期生による舞台『3人のプリンシパル』では“三役制覇”を成し遂げると、2019年には舞台『逆転裁判‐逆転のGOLD MEDAL‐』でヒロイン・綾里真宵役として初めて単独で舞台に出演。これが転機となり、2020年には『SUPERHEROISM』、2021年には『October Sky-遠い空の向こうに-』と現在の活動にも通ずるミュージカル作品に出演し、ミュージカル女優としての礎を築く。『October Sky-遠い空の向こうに-』では初めての生オーケストラにも挑戦し、中村はブログの中で必死に食らい付いていくので精一杯の日々だったと振り返っていたが、同時に「きっと私の中の分岐点となる事でしょう」とも綴っているように、この経験は大きなものに(※1)。活躍の場をグループのみならず、外へと見出していく中村のあり方はとても重要なものだった。 そして2023年、2024年にはKinKi Kids 堂本光一が作・構成・演出・主演を務める舞台『Endless SHOCK』と、そのスピンオフ版『Endless SHOCK -Eternal-』の2作品でヒロイン・リカ役を射止めた。2000年11月に初演が行われ、帝国劇場で毎年公演されてきた『SHOCK』シリーズは、2005年より『Endless SHOCK』と名を改めると、多くの若手俳優たちを起用し、その才覚を見出してきた。筆者は2023年に東京・帝国劇場にて上演された『Endless SHOCK』を観劇したが、荘厳な世界観の中でも、その雰囲気に呑まれることなく、堂々たる歌声と表情で観客を魅了していた中村の姿が印象に残っている。もともと何事にも動じない強さでパフォーマンスをこなしていたが、それでもステージに立つ中村の姿は力強く輝いて見えた。『Endless SHOCK』のヒロインという大役を勝ち取った背景にあるのは、中村が2021年から続けてきたボイストレーニングと苦手だという演技レッスンに、必死に励んできた強い覚悟だろう。