以前免除されていた「国民年金保険料」を、11月に「20万円」追納! 追納分の「控除証明書」はありませんが、年末調整で処理してもらうにはどうすれば良いでしょうか?
その年の1月1日から12月31日までに納付した国民年金保険料は、全額が社会保険料控除の対象になります。ではその年分ではなく、過去分の保険料を支払った場合でも、社会保険料控除の対象になるのでしょうか? また、年末調整で処理してもらえるのでしょうか。 本記事では、追納した国民年金保険料の所得控除を、年末調整で処理してもらう方法について説明します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
国民年金保険料は年末調整の対象
その年に支払った国民年金保険料は、社会保険料控除の対象になります。社会保険料控除とは、所得税を計算する際、所得額から社会保険料額を差し引ける制度のことです。つまり、社会保険料控除が多ければ、その分、所得税が抑えられるのです。 ■国民年金保険料の追納制度 国民年金には保険料の免除・納付猶予制度があります。第1号被保険者が失業や収入減少などの事情で保険料納付が難しくなったときに、申請により保険料の支払いを免除や納付を猶予してもらえる制度です。 しかし、免除や猶予を受けた期間があると、将来、老齢基礎年金が満額受給できません。満額の老齢基礎年金を受給するには、後から免除・猶予期間分の保険料を支払う(=追納する)必要があります。保険料の納付猶予や学生納付特例を受けた分についても同様です。 追納した保険料は、支払った年の社会保険料控除の対象になります。保険料額を適正に会社に知らせることにより、会社で年末調整を受けることができます。
追納保険料を年末調整してもらうには
追納した国民年金保険料を年末調整してもらうには、具体的にどうしたらよいのでしょうか? ■控除証明書を添付する 国民年金保険料を年末調整してもらうには、会社に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」に「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を添付する必要があります。 控除証明書とは、その年の国民年金保険料の納付額を証明するものです。日本年金機構から次のタイミングで自宅に郵送されます。 ・1月1日~9月30日納付分 10月下旬~11月上旬頃 ・10月1日~12月31日納付分 翌年2月上旬頃 ■控除証明書がないときは しかし、今回のケースだと、すでに1月~9月分で控除証明書を受け取っていることになるため、追加で控除証明書は郵送されません。このような場合は、追納したときの領収証書を添付することで控除証明書に代えることができます。そのため追納をしたときは、領収証書を失くさないようにしましょう。 ■保険料控除申告書への記載 年末調整時に会社に提出する、「給与所得者の保険料控除申告書」の「社会保険料控除」の欄に、追納分の国民年金保険料について記入します。 「社会保険の種類」には「国民年金」、「保険料支払先の名称」には「日本年金機構」、「保険料を負担することになっている人の氏名」には自分の氏名、「あなたが本年中に支払った保険料の金額」には追納金額を、それぞれ書き入れてください。
まとめ
過去に免除・猶予を受けた国民年金保険料を追納した場合は、追納した保険料も年末調整の対象になります。年末調整を受けられなかったときは、自分で確定申告することで追納分を所得控除できます。社会保険料は全額が所得控除の対象となり節税につながるため、忘れずに申告しましょう。 出典 日本年金機構 年金Q&A 控除証明書の送付時期はいつですか。 日本年金機構 年金Q&A 10月1日以降に控除証明書の証明欄にある「(1)納付済額」や「(2)見込額」以上に国民年金保険料を納めたときは、どのように申告すればいいですか。 執筆者:橋本典子 特定社会保険労務士・FP1級技能士
ファイナンシャルフィールド編集部