負担重くのしかかるフリースクール 初のアンケートで現状明らかに
沖縄テレビ
10月に県内で発足したフリースクールの連絡協議会。その協議会が初めて実施したアンケートで、フリースクールに通う子どもの学費が重くのしかかっている現状が明らかになりました。必要な子どもに学びの機会を届けられていないかもしれない。協議会はアンケート結果をもとに公的な支援を働きかけていくことにしています。 県内のフリースクールや子どもの居場所などの団体が連携して学校や教育委員会と協議し、子どもたちのより良い学習環境を整えることを目指し、10月に発足したフリースクール連絡協議会。当初は20団体が加盟し、現在は26団体まで増えています。 沖縄フリースクール居場所等運営者連絡協議会 西山哲平代表「一個人一団体で出来ないことをこの連絡協議会の中でしっかりやりながら、行政と支援制度づくりをするところの出発点に立った。」 法律で定められた学校でないことや、明確な定義がないことから、フリースクールやオルタナティブスクール、子どもの居場所など、県内にある施設の数は教育委員会なども全て把握していません。 その実態を把握するため連絡協議会の設立に奔走した西山代表はこうした施設を対象とした初めてとなるアンケート調査を実施、21団体から回答を得ました。 西山哲平さん「予想していた通り、利用されている児童生徒や保護者にとって授業料や利用料がすごく高額になっているという事実。働いているスタッフの雇用環境や給与の面も予想通り厳しい結果だったというところが実感です。」 利用料について、週5日間子どもたちを受け入れている団体では一人あたり月平均4万6000円余りと、高額な負担が保護者にかかっていることが明らかとなりました。 自由記述では、保護者の負担に対し行政による補助を求める声や週5日間毎日開校して子どもたちを受け入れたいが、資金面で開けていないという声や、スタッフが集まらないという課題も明らかに。 「家庭への経済的負担が大きく、本当に必要な子どもたちに届けることができない。」「親御さんから学費に関する相談もあるので、行政から家庭へ資金の支援が必要と感じている。」 「公立小中の給食費の減免や補助があるなら、フリースクール居場所に通う児童生徒にも適用してほしい。」「経営の安定や働くスタッフの給与の保証などを考えると公的資金を施設側にも投入してほしい。」 西山さん「そういう場所を見つけたけれども、授業料や利用料が高すぎて通えない。ただでさえ困っている保護者児童生徒がさらに追い詰められるといったようなことがいま実際に起こっているということ。」 「経済的な理由で学びの選択が狭まっている状況と子どもを支える側の人たちが資金面で倒れてしまうという危機感を感じています。」 昨年度、県内の小中学校における不登校の児童生徒の数は、前年度より1251人増加した7013人で過去最多を更新しています。 「不登校気味の生徒に校内に支援できる学級を作ったりするなど、工夫されて。ただ一方で、やはり公立の小・中学校では、なかなかやっていけないという子どもたちがこれだけ増えてきている中で、受け皿となってきた場所に対する支援は必要だと。」 県のこども若者政策課は「不登校の子どもの受け皿を担っている居場所やフリースクールの役割は大きい」として、来年の県こども計画の策定に向けアンケート結果を関係部署で共有し連絡協議会の意見を聞き取っていきたいとしています。 連絡協議会のメンバーはこの日、南城市の教育委員会との意見交換のため市役所を訪れました。 西山代表「一条校のカリキュラムと法的拘束力がない民間施設の独自のカリキュラムとか、教育課程に照らし適切と認めるか認めないかというところは、今後大事な議論の柱になってくる。」 様々な理由で公立の学校には通わずにフリースクールを選択した子どもたちは内申点や出席日数で高校へ進学する際に不利益を受けるケースについて協議を続けています。 南城市教育委員会教育部 與儀毅統括指導主事「すぐ答えが出るようなものではないというふうに考えてますので丁寧に学校側の意見も聞きながら、フリースクールの意見も聞きながら、粘り強く、取り組んでいけたらなというふうに考えております。」 フリースクール連絡協議会は今回のアンケート結果を県や行政と共有したうえで、公的支援を求めて活動していきます。 西山代表「その数字の後ろにある背景どういったものがこの数字のもとになっているのか、もっと言えばそうならざるを得ない理由は何なんだっていうところを私達だけではなくて、行政と一緒に深掘りをしていってまた制度作りをするっていうことが当事者に寄り添った支援制度とか予算を作っていくということになっていくと思っています。」
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